俺が治療してやりますかねぇ(左近)

「くしゅん」

冷え込みの厳しい冬のある日。
紗耶はくしゃみをした。

紗耶は両家の姫でありながら殿の部下、まぁ俺と同じ立場なんですがね、えらく殿に気に入られている。

容姿端麗、頭脳明晰それでいて武芸に秀でているとあっては、殿でなくても側に置きたい気持ちは分からないではないですねぇ。

「風邪ひいたんですか?」

「うん…かも知れない。」

曖昧な返事をした紗耶の頬はいつもより赤みが増しているように見える。

「部屋に戻って休んだらどうです?」

「そういう訳には行かないよ。殿が留守の間、しっかり仕事しておかないと殿が困るでしょ。」

それに…と紗耶は言葉を続ける。




「左近に負担をかけたくないの。」




可愛い事を言うじゃないですか。

「仕方ない。だったら紗耶さんの風邪、俺が治療してやりますかねぇ。」

隣に座っていた紗耶の肩を抱き口づけをする。

「なっ!」


「風邪は移すと治るって言いますからねぇ。」

紗耶は顔を真っ赤にしながら口元を手で隠した。


してやったり。

あんたを気に入ってるのは殿だけじゃないんですよ。







ありがちな話。

結論、左近は手が早い。

このあと殿と左近と紗耶さんの三角関係なんですかねえ(笑)


お題配布『緋桜の輝き、』様

「俺が治療してやる」をアレンジさせていただきました。




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あきゅろす。
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