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Start of small small distortion.
ラバスと一緒にノクターンからダイアゴンまでやって来た私は、目的地であるオリバンダーの店で感動していた。

「すご…」

流石、杖専門の店と言うべきか。店内の至る所に杖の入った箱が置かれてある。そりゃもうびっしりと。
この中から、私に合った杖を探すとなると、それだけで一苦労だ。一体、どれ位の時間が掛かるのだろうか?

「おや、レストレンジさん。今日は一体?」
「…コイツに杖を。早急に頼む」

奥からやって来た老人…オリバンダーさんがラバスに話し掛け、ラバスが不機嫌そうに答える。何で不機嫌なのかな…あぁ、私の所為か。
一人納得していると、オリバンダーさん(…面倒だから老って呼んどこ)が私に定番の質問をしてきた。

「お嬢ちゃん、杖腕は?」
「(お嬢ちゃん?!)…あ、右で」

老の発言に驚きつつ、きちんと答える。てか、何。私ってばそんなに若く見えるの?今度試しに卿に訊いてみるかな。

「これはどうだい?」

渡された杖を一振りすると、近くにあった箱が勢い良く崩れた。老はそれを見て、また違う杖を渡してくる。それを一振りすると、入口付近にいたラバスの横の箱が飛んだ。

「ッ危ねーな」
「うむ…これも駄目か」

老はラバスを無視してそう呟き、部屋の奥へ消える。私はそれを見送りつつ、周囲の箱を見渡す。すると、一つ気になる箱を見つけた。
勝手に触って良いのかな…と思いながらも、その箱を手に取る。

「では、これはどうじゃ?……おや、その箱は…」
「あ、勝手にすみません。ちょっと気になったので…」

そう言って持っていた箱を老に返すと、老は箱を開けて杖を取り出した。杖全体が真っ白で珍しく、とても綺麗だな…と思っていたら、ひょいとそれを渡された。
その杖を握った瞬間、ふわりと風が起こる。杖は手にしっくりと馴染み、持っている感覚でさえ無いに等しいくらいだ。

「桜の木、不死鳥の尾羽、デュラハンの涙、28cm…まさかこの杖の持ち主が決まるとは」

老のその言葉で、私は自分の杖が決まった事を悟る。しかし、さっきの老の言い方は、まるでこの杖に問題があるかのように聞こえた。
むむっと眉間に少しだけ皺を寄せ、じっと杖を見つめていたら、それを見て察したのか、老はまた言葉を続けた。

「その杖自体は悪い物ではない…その杖は、ある人物の杖の兄弟杖なんじゃよ。同じ不死鳥の尾羽を芯に使っとるんだが…」

!…もしかして、卿とハリーの?いや、でも、ダンブルドアがフォークスの羽を渡したのは、原作では2本だけの筈じゃ…?

「この杖の兄弟杖はもう一つあってな、それはまた奥に置いてある」
「そうなんですか…」
「杖が決まったなら早く行くぞ。いくらだ?」

ぐるぐるとまた思考の渦に呑まれそうになっていると、ラバスがそう言って話を終わらせ、お金を払って私達は店を出た。

「……あ、あの店でお茶して行こーよ」

まだぐるぐると考えが纏まらないから、ラバスを連れて喫茶店に入った。丁度良い機会だから、此処でラバスとの交流も深めておこう。
席についてミルクティーを(勝手に)二つ頼むと、早速ラバスに話し掛ける。

「ラバスって、今何歳?」
「…16」
「ふぅん…じゃあ因みに、私って何歳くらいに見える?」
「あ?15くらいだろ?」

えぇー…どんだけ若く見られてるの、私。
ていうか、やっぱラバスは敬語じゃない方が良いなぁ…じゃ、なくて。

「…少なくとも、ラバスよりは年上なんだけど」
「はぁ?!」

事実を告げれば、有り得ないという顔をされる。いや、こっちとしてはそれが有り得ないんだけど。

「とりあえず、帰ったら卿やルシーにも同じ質問してみよーっと」

ぐいっと紅茶を飲み干して席を立つと、ラバスも慌てて紅茶を飲み干す。そして、立ち上がり様に私の腕を掴んだ。

「おい、結局いくつなんだよ?」
「帰ってからのお楽しみって事で」

まだ秘密ーと笑う。すると、ラバスは私の年齢がそんなに気になるのか、私の腕を掴んだままノクターンの方へ歩き出す。

「え、ちょ、まだ帰んないよ?!いろんな店見ていきたいし!」
「また来れば良いだろ。さっさと帰るぞ」

私の意見は敢えなく却下され、私はラバスに引っ張られるまま、卿の待つ屋敷へと渋々帰らされた。



Start of small small distortion.
小さな小さな歪みの始まり



(私の杖、かぁ…)(白って綺麗で珍しいよね)

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あきゅろす。
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