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この状況、何かもう色々と疲れたんですけど…とりあえず卿、早く何か話してよ!
えー今私が置かれている状況は、一言で言えば沢山の人に睨まれてます。えぇ、それはもう見事に、広い部屋いっぱいにいる人間の殆どが私を睨んでます。何かデジャブだ。攻撃されないだけマシだけど、多分それは卿がいるからだろう。
ちらりと卿に目だけで訴えれば、面白そうに笑った後、私を睨んでる人達に向けて口を開いた。

「コレは私のモノだ。傷つける事は許さん」

……え、それだけ?いやいや、それは流石に言葉が足りなくない?てか、それ以前に私は卿のモノじゃないからね?
卿から目を離して死喰い人達を見れば、やっぱり今のじゃ納得出来ないらしく、小さく口々に不満を漏らしている。

「失礼ですが我が君、この娘は一体…?」

黒いフードを被ったまま、頭を下げて近付いてきた男。フードの陰から、プラチナブロンドの髪が見えた。

「アブラクサスか。コレは私が違う世界から喚んだのだ」

卿が楽しそうにそう言えば、アブラクサスさんも他の死喰い人達も、息を呑んだ。

「コレはいずれ私の役に立つ。決して傷つける事は許さんからな」

冷たく、凍りつくような声で釘を刺すと、卿は死喰い人達の中から二人の人物を呼んだ。

「今日からお前達二人にコレの世話を任す」
「「…畏まりました」」

卿から直々に命令を受けた二人の死喰い人は、頭を下げて了承した。それを見た卿は、私の方に向き直った。

「ロアン、お前は二人と部屋に戻っていろ」
「ん、判りました」

この場から早く抜け出したかった私は、返事をするとすぐに部屋から出て行った。そんな私の後を、二人の世話役が追いかけてくる。
迷う事なく自室についた私は、とりあえず部屋に二人を招き入れてみた。ベッドに腰掛け、二人にソファーを勧めれば、無言でじっと見られただけだった。因みに二人とも、まだ黒いフードを着用中である。

「えと…とりあえず、フード外して下さいませんか?自己紹介しましょう!」
「「………」」

明るく提案してみるが、また無言で返された。む…手強いな。でも、名前とか教えて貰えなきゃ、色々不都合があるのよね。卿がいたら素直に言ってくれるんだろうけど、卿は何か忙しいから私を先に行かせた訳で、すぐには戻ってこないだろう。

「じゃあ、世話役1と2と呼んでおきま「「それは御免こうむる」」

冗談で言えば、二人揃って却下された。

「じゃあせめて、名前くらい教えて下さいよ。あ、私はロアンって言います」
「……ルシウス・マルフォイだ」
「…ラバスタン・レストレンジ」

敢えて名前を言わなければいけない状況にしたら、きちんと二人とも名前を教えてくれた。ふふ、私に勝てるとでも思ってたのかしら?

「ルシーとラバスですね。宜しくお願いします……ね!」

にこりと笑って握手を求めたフリをして、二人のフードを引っ剥がす。あまりにも急だった為、見事にフードが外れた。
さらりと流れるプラチナブロンドの髪と艶やかな黒髪。そして、整った顔が二つ、驚いた表情をしていた。ルシーもラバスも、とても美形だ。

「わぁ、二人とも超美形ですね!流石貴族」

まぁ、貴族でなくても美形は沢山いるんだけどね。そう口走った後、私は目の前で小刻みに揺れているラバスと、何かを疑うように此方を見ているルシーに気付いた。

「…前は…にして…のか?」
「何故…が……だと?」
「?…二人とも、何が言いたいの?」

途切れ途切れにしか聞こえなくて、もう一度訊ねる。

「お前は、俺らを馬鹿にしているのか?!」
「何故、私達が貴族だと?」

一人は怒りを露わに叫び、一人は静かに問いかけてきた。え、ちょ、何で怒るの?で、私はまた墓穴を掘ったのか。

「な、何がですか?ラバス、ルシー」

少し焦って、どもってしまう。美形が怒るとちょっと恐い。卿が怒ったらもっと恐いんだろうな…

「その、変な呼び名だ!俺らを誰だと思ってやがる?!」
「…このあだ名ですか?呼びやすいから良いじゃないですか」

ラバスの怒りの原因は、どうやらこのあだ名らしい。ラバスタンって呼んでも良いんだけど、ラバスの方がしっくりくるし呼びやすいのだが、ラバスはお気に召さないようだ。

「良くねぇ!」
「貴方達の主のヴォルデモートさんでさえ、卿ってあだ名で呼んで良いって言ってくれましたよ?」

卿の名前を出したら、ピタリと止まってしまったラバス。ルシーもルシーで、意外そうな顔で固まっている。あ、面白い。

「それと、私は色々知ってるんです。何を知ってるかは教えませんけど」

その言葉に、ルシーがハッとした。自分の問いに対する答えだと気付いたらしい。

「とりあえず、これから宜しくお願いしますね」

そう言って笑えば、ラバスもルシーも微妙な表情しかしなかった。



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世話役のあだ名


(そういや、二人とも知ってる人だ)(まぁ、名前だけもいるけど)

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あきゅろす。
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