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The cause is found unexpectedly easily.
「で?貴様は何者だ?」

いち早く我に返った男が、また冷たく問いかける。何者かと言われても、私は一般人にすぎない。何故此処にいるのかも、私は此処に来る直前まで本を読んでいただけだから、判らない。

「私はロアンという名前の只の一般人です」

一般人という言葉に、男が眉をひそめる。どうやら此処は、一般人が足を踏み入れてはいけない所らしい。

「マグルだと…?」

男が憎々しげに呟いた。マグル…?マグルって、非魔法族の事?ちょっと待って、そんなの有り得ない。

「我が君、この娘どうします?」
「…ふむ、魔力は相当あるようだが」

"我が君"とか"魔力"とか、きっと何かの間違いだ。だって、そんな事ある訳ないでしょう?本の世界にトリップした、なんて。

「此処、何処ですか?」

気まずそうに訊ねる。あぁ、どうか別の場所でありますように。

「…イギリスの、我が屋敷だが」
「嘘…」

男の言葉に小さく、呟いた。思わず呆然としてしまう。どうやら私は、此処に来る直前まで読んでいた本の世界にトリップしたらしい。しかも、闇の帝王の屋敷に。どうしよう、このままだと私の人生が終わってしまう気がする。

「……部屋を与える。好きに使え」

ひらりと服を翻し、私に背を向ける男。え、何、何て言った?

「ついて来い。話はそれからだ」

そのままさっさと歩き出す男に、慌ててついて行く。後ろで『我が君?!』と黒フード達が驚いていた。

「俺様の名はヴォルデモート卿だ」

暫く無言で歩いていたら、急にそう言われた。知ってる、なんて言える訳もないから、宜しくお願いしますとだけ言っておく。

「この部屋を使え」

そう言って通された部屋は、少し荒れた広い部屋。ベットも大きく、クローゼットもそれなりの大きさがある。ヴォルデモートさんが杖を取り出し、一振りすると、荒れた部屋がたちまち綺麗になった。

「…有難う御座います」

微笑んでお礼を言えば、顔を逸らされた。え、酷くない?見れない程に酷いのか?私の顔は。
それから、部屋にあったソファーに二人で腰を下ろし、ヴォルデモートさんが杖で出した紅茶で、一息ついた。

「お前が此処に来たのは、俺様の所為だ」

ぽつり、ヴォルデモートさんが爆弾を落とす。えぇっと、今彼は何て言った?俺様の所為?俺様ってヴォルデモートさんの事?
訳が判らず首を傾げると、溜め息を吐かれて再び同じ事を告げられた。

「お前が此処に来たのは、俺様の所為だ」

……マジでか。私がトリップした原因は、ヴォルデモートさんだそうだ。でも、何で私?

「特に決めて喚んだ訳ではないのだが…俺様の力になりうる者を喚んだら、お前が現れた」

顔に出てたのか、そう教えてくれたヴォルデモートさん。ヴォルデモートさんの力に、私が?それは、未来についての助言だとか、マグル狩りだとかをしろという事?
ぐるぐると考えが巡るが、今一つだけ言っておきたい事があるので、とにかくソレを言う事にする。

「取りあえず、俺様ってどうかと思いますよ。ヴォルデモートさん」

そう言うとムッとしたヴォルデモートさんに、思わず笑ってしまったのだった。



The cause is found unexpectedly easily.
原因は案外簡単に見つかる


(さて、これからどうするか…)(それにしても、お腹減った)

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あきゅろす。
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