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Tea of sugar taste and a little safety.
「何だ、もう仲良くなったのか」
「あ、卿っ!」

ラバスとルシーと仲良く楽しく(?)お茶をしてたら、そう言って卿が入ってきた。私は持っていたカップを置き、卿に近寄る。因みに、ルシーに頼んで出して貰った紅茶は、とても美味しかった。

「私の頑張りのお陰なんですよ!」

胸を張って、嬉しそうに主張する。ここまで(お茶を一緒にするまで)仲良くなれたのは、私がめげずに話しかけたりした(弄り倒したとも言う)からだ。

「そうか。それは良かったな、ロアン」

何故か安心した様子の卿に、首を傾げる。すると、不意に頭に軽い重みを感じた。見ると、卿に頭を撫でられている。

「き、卿?」
「!……あぁ、悪い」

驚いて卿を見つめると、自分でも無意識にしていたらしい卿の手が、パッと私の頭から離れた。
出逢ってまだ1日半しか経っていないけど、少しだけ、卿の表情が判るようになった。それは、私が元の世界で身につけた、一つのスキルと言っても過言ではない。そんな大層なものでもないけれど。

「少し驚いただけなんで…」

ていうか、ルシーとラバスの方が驚いてるけどね。だって、凄い表情のまま固まってるし。あぁ、でも、それなら卿もかなり動揺してる気がする。紅い瞳で自分の手をずっと見つめてる。

「卿、紅茶飲みますか?」

気分転換に、と自分の分を郷に渡してみる。すると卿はそれを受け取って、一口だけ口に含んだ。その一連の動作が、流れるようで綺麗だった。流石と言うべきか、その姿はそれだけで魅力的だ。

「…何だこの砂糖味の紅茶は」
「あ…砂糖入れまくったの忘れてた」

自分が大の甘党で、ルシーに出して貰った紅茶にスプーン五杯分くらいの砂糖を入れたのを、うっかり忘れていた。

「わ、我が君…大丈夫ですか?」
「……砂糖の量を控えさせろ」

うっと吐きそうになるのを堪えつつ、卿がラバスに命令する。えぇ、ちょ、砂糖減らされるの?!

「ちょ、お願いだから私の糖分を取らないで!」

ラバスに取られる前に、砂糖入れを掴み取り、抱きかかえる。その動きのあまりの速さに、ラバスとルシーが目を見開き、卿は見定めるように私を見た。

「(動きは悪くない…か)」
「お願いしますよ、卿ー」

うるうると目を潤ませて、卿に頼み込む。私には糖分が必要不可欠なンです!なくなったら死んじゃうよ?!

「……私は控えろと言っただけで、取り上げるつもりはない」

卿のその一言に、パッと明るくなる。

「有難う御座います、卿!」

そして嬉しさのあまり、ガバッと思わず抱きついてしまった。やば…

「あ、ごめんなさいっ」

すぐさま離れ、頭を下げる。全く、私は何をしてるんだ。馴れ馴れしいにも程があるだろうよ、自分。
またラバスとルシーが、変な表情のまま固まっている。

「いや…構わん」

……マジでか。あのヴォルデモート卿が怒らないなんて…

(本当のこの人は…優しい人、なのかもしれない…)

そう思った瞬間、ハッとする。私はまだ、目の前にいる彼等を、物語の登場人物として無意識に見ていたようだ。何て最低なんだろう。私と同じように、生きているというのに。
スーッと、何かが冷めていく感覚がする。自己嫌悪の嵐に、目の前が真っ暗になっていく。

「おい、大丈夫か」
「っ……あ…大丈夫、です」

私の異変に気付いたのか、卿が私の肩を揺すった。そのお陰で、危うく沈みかけていた意識が戻ってきた。…情けない。

「顔色が悪いな…もう休め」
「…すみません」

申し訳なく思い謝れば、今度は意識的に頭を撫でられた。

「気にするな。体調が悪ければ早く言え」

そう言って卿は、ラバスとルシーを連れて部屋を出て行った。私はそれを見た後すぐに、ベットに背中から倒れ込んだ。

「っ、さいあく…」

顔に手を置き、呟く。自己嫌悪で具合が悪くなるなんて、馬鹿らしい。

「なかなか治らないな…これ」

私は時々、精神面が不安定になると体調を崩す事がある。これは子供の頃、事故に遭った時からのものらしい。小さかった私は、事故の後遺症か何かで、その事故さえ覚えてはいないけど。
こうして体調を崩した時、いつも誰かが頭を撫でてくれると、和らぐ。気紛れでやったんだろうけど、卿に撫でて貰えて良かった。そうでないと、もっと心配をかけていただろうし。それにしても…

「…安心、したな」

無意識に呟いて、重くなった瞼を閉じた。



Tea of sugar taste and a little safety
砂糖味の紅茶と少しの安心



(他人に触れられて安心したのなんて)(何年ぶりだろう…?)

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あきゅろす。
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