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The pronunciation of magic is basic.
「ウィンガーディアム・レビオーサ!」
「レヴィオーサだ、馬鹿者」

はい、只今卿とマンツーマンで浮遊呪文の練習をしてます。が、何度唱えてもちゃんと発音出来ない!
大体、日本人には難しい発音をいきなりやれって言われても無理だと思う、普通。それに、自分ではちゃんと発音してるつもりなのに…何でなんだ。

「…あ、卿の翻訳魔法が駄目なんじゃ」

ペシン!

「痛っ…叩かなくたって良いじゃないですか!」
「私の魔法は完璧だ。お前の発音が悪いだけだろう」

思わず漏らした言葉に反応して、卿が私の手を叩いた。それに文句を言えば、偉そうに笑われた。

「ウィンガーディアム・レビオーサ!ウィンガーディアム・レビオーサ!!ぁーもうムカつく、インセンディオ!」

ヤケを起こして連呼してみても無駄で、それに苛ついた私はつい違う呪文を唱えてしまった。
ボッという音と共に、目の前で羽が燃える。やっちゃった…と思いつつ、卿の方をちらりと見ると、驚いた表情のまま羽が燃えるのを見ていた。

「え、えーと…ごめんなさい!」

とりあえず謝るが、反応がない。もしかしなくてもヤバい…?

「……ロアン、」
「うぇ?…っはい!」

一人不安になっていると、急に名前を呼ばれて、変な声を上げてしまった。それを誤魔化すように、すぐさま返事をする。

「お前は、どれだけの呪文を知っている?」
「……呪文、ですか?」

怒られると思ったのに、怒られなかった事に安堵しつつ、卿の言葉に首を傾げる。んーと…知ってる呪文って何があったっけ?

「数は判んないですけど、呼び寄せ呪文や守護霊の呪文、武装解除に忘却術とか…後はそうですね、許されざる呪文も知ってます」

使えるかは別ですけどね、と言葉を付け足して言えば、卿の顔が驚きで一杯になった。まさか私が、そんなに呪文を知ってるとは思ってなかったのだろう。
…此処まで正直に言ったのは、今後、咄嗟に使わないとも限らないからだ。何が起きるか判らない先の事、使えるかどうかは判らないが、変に疑われるような真似はしない。

「そう、か…」

そんな私の答えに小さく、吐き出すように声を出し、何かを思案し始める卿。その表情は、何処か複雑そうに見えた。

「…浮遊呪文はお前には発音が難しいようだ。次は呼び寄せ呪文を試す」

何か結論が出たのか、そうでないのか…良く判らないが、卿が私にそう提案する。要するに、浮遊呪文は諦められたみたいである。

「――アクシオ!」

そんな訳で早速、呼び寄せ呪文を唱えてクッションに杖を向けると、クッションは真っ直ぐに此方に飛んできた。

「見ました?!卿、ちゃんと出来ましたよ!」

飛んできたクッションを片手で抱きしめ、卿に飛びつく。卿はそんな私を跳ね飛ばす…なんて事は全くなく、普通に受け止めて私の頭の上に手を置く。

「…あぁ、良く出来たな」

そう言って、ぎこちなく頭を撫でてくれる卿。それが何だか嬉しくて、つい笑みが零れる。
……っていうか私、この世界に来てから子供っぽくなってる気がしてならないのだけど。私もう21なのに。卿が私を子供扱いするからか…?

「…卿からしたら子供だろうけど、私だってちゃんと大人なのに…」
「何か言ったか?」
「いえ、何も!次は何の呪文やります?」

思わず呟いた独り言を誤魔化すように、話題を変える。こういう考えが子供の証だと、自分でもそう思った。

「そうだな…武装解除でもするか」

言うと同時に杖を振り、練習用と思われる人形を出す卿。しかし、すぐさまそれを消してしまった。

「?何で消したんですか…?」

首を傾げ、訊ねる。すると卿は、私の正面に距離を置いて立ち、杖を構えた。

「どうせなら私が相手をしてやろうと思ってな。さぁ、やってみろ」
「ま、マジですか…」

いきなりの実戦…しかも卿相手にとか、絶対失敗する。けど、失敗したらしたで怒られそうなんだけど。

「失敗しても怒らないで下さいね――エクスペリアームス!」

先に保険をかけてから、卿に向けて呪文を放つ。紅い閃光が卿めがけて飛んでいき、卿の持つ杖を吹き飛ばした。

「…どうやらお前には才能があるようだな、ロアン」
「そう思います?!」

卿に褒められてテンションが上がった私は、卿に詰め寄らん勢いで問う。だって卿が人を褒めるなんて滅多になさそうだし。

「発音さえ何とかなれば、だがな」

上げて落とすのが狙いだったのか、と言いたくなる程さらりと言われて、少し肩を落としたのは仕方ないと思う。
だから私英語出来ないって言ったじゃん、って感じです。



The pronunciation of magic is basic.
魔法は発音が基本



(もう少しちゃんと)(英語習ってたら良かったかな…)

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