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The start is made sudden.
一体全体これはどういう状況なのか。気がつけば沢山の黒いフードに囲まれ、木の棒を何本も突きつけられる。鋭い殺気を込めた視線が、幾つも私を射抜いている。突然すぎて意味が判らない。本当に何なんだ、一体。

「Who are you?(貴様は何者だ)」

不意に目の前の黒フードが口を開く。聴こえた言葉は私の母国語ではなく、英語。…此処は海外なのか?辺りを見ても、暗くてよく判らない。

「Do you listen?Who are you?Why are you in this conduct oneself?(聴いているのか、貴様は何者だ。何故此処にいる)」

と、英語で話されても私には判らない。私は生粋の日本人だ。英語が判る訳ない。さっきから判らない事が多すぎて困る。とりあえず、何か反応しなくてはと思い、口を開く。

「I can't speak English(私は英語が話せない)」

たどたどしく口にしたのは英語。簡単な言葉だ。仕方ないじゃない、私は日本から出た事もないし、出たいとも思わなかった。だから、英語はあまり出来ないのだ。

「What?(何事だ)」

黒フードの集団の奥から、一人の男が出てきた。黒フード達は男の為に道を開け、そのまま跪く。この人は一体誰だろうか。少なくとも一番偉い人、なんだろう。

「What is this lass?(この小娘は何だ)」

酷く冷たい声で、私の真正面にいた黒フードに問いかける男。問われた黒フードは一瞬肩を震わせ、体を竦ませながら口を開いた。

「It doesn't understand. It appeared suddenly(わ、判りません。いきなり現れたのです)」

黒フードが何と答えたのかは判らない。けれど、黒フードの言葉で男は私を視界に捉えた。
最初に見えたのは、その男の目。両目が血のように紅い。何て綺麗な、何て深い紅なんだろう。ぼぅ…と、思わずその紅に魅入る。

「Who are you?(貴様は何者だ)」

ふと、男が言葉を発した。私が何者なのか知りたいらしい。説明したいが、私は生憎英語は話せない。なのでとりあえずまた、

「I can't speak English(私は英語が話せない)」

と言った。すると男は何故か溜め息を吐き、何処からか出した木の棒を私に向かって振った。

「これで言葉は通じるだろう?」

男が確認するかのように言う。驚いた。さっきまで通じなかったのに、棒を一振りしただけで言葉が通じるようになるとは。これではまるで…

「魔法、みたいですね」

私がそう言った途端、目の前の男も周りの黒フードも驚いた表情をした。



The start is made sudden.
始まりは突然


(そういえばこの人達、どっかで…)(いや、気のせいか)

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あきゅろす。
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