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裏切りの代償
ストーカーを諦めさせる方法(謳雅side)2
 
「・・・最近、久貴谷(くきや)様疲れてない?」
 
「うん、今も溜め息を吐かれて・・・あ、また」
 
「何か心配なことでもおありなのかなぁ?」
 
「・・・・・・でも、そんなアンニュイな久貴谷様もカッコイイです・・・」
 

「「それは確かに」」
 


つまり、それは俺が何をやってても結局はかっこいいという結論に達するという証明で。
 
実際、俺が何をしようがこいつらは結局同じ結論に達する。
 

男にカッコイイって言われても嬉しくもなんともないが。
 
 


最初にストーカーに気付いてから1週間。
 
被害は増すばかりだ。
 

学園内でもそいつの視線を感じたり、下駄箱や机、ロッカーの中に手紙や贈り物とかいうものが入ってたことからして、確実にこの学校の生徒なのだが、1学年300人を超える上に小中高一貫で、学園の生徒と教師はどこでも出入り可能なため、まだ特定には至らない。

さすがに授業中は視線を感じたこともあまりないから(移動とか体育とかで教室を出る時とたまに感じる)、同じクラスでないのは確かだということぐらいか。
 

まぁ流石に小学生は有り得ないとしても、高校生を含めて約1800人の中から犯人を特定するのはきっとまだ無理だろう。
 

俺の精神力は視線を感じるたびにすり減っていく気がしたが、自分が登校拒否を示すまでにストーカーが誰か見破ることが出来るかどうかはわからなかった。


「なぁ、お前最近変じゃね?」
 
「・・・・・・どういう意味だよ?」
 
「何かここんとこ毎日疲れた顔してっし、第一お前が毎日俺んち来るとか絶対おかしい。・・・何かあったのか?」
 

確かに、俺は汚部屋と呼んでいるこの部屋には何かない限り、近付かない。

それを知ってるから、一樹はこんなにも心配そうに俺を見るんだろう。
 

幼なじみの気遣いに触れて、無意識に張り詰めていた心が少しばかり緩められた気がする。
 
意識的には家を知られない為の避難所という認識だったが、ここ最近は誰も信用出来なかったし、唯一こいつだけが学園に関係ない友達だったから心の安息を求めている部分もあったのかも知れない。
 

意識してなかった警戒心が解けた気がしたところで、あることを思い出した。
 

そういえば、こいつも昔ストーカー被害に遭ってたんだよな。

・・・まぁ、こいつのストーカーだったのは元カノだったし、俺のストーカーは多分男だろうからちょっと状況は違うが。
 

今更傷口を抉るのもどうかとは思ったが、俺の精神はとうに限界が来ていたらしい。
 
気付くと、今の自分の状況を全て喋っていた。
 

「・・・え?ちょ、謳雅!それマジか!?」
 
「あぁ・・・。うちの学校の生徒だとは思うんだが、独力では犯人特定もなかなか難しくてな」
 
「お前のとこ生徒数多いもんな・・・。つーか、相手男か・・・」
 
「・・・なんだよ?」
 

言ったきり沈黙するその中で、無言で何かを訊かれてる気がしたが、さすがにそこまでは分からずに促す。
 

「・・・・・・や、俺のストーカーって元カノだったろ?」
 
「?・・・・・・は!?ちげえよ、男になんて興味ねえよ!」
 

一瞬質問の意味が分からずに沈黙するが、自分にホモ疑惑がかけられていると気付いた瞬間叫んでいた。
 

「お!?え、わ、わり・・・・・・なんでそこまで怒んだよ?」
 

言われて、確かの普通に否定すればよかったことだと気付く。
 
自分では染まってないと思っていたが、着実にあの学園に染められている自分に少し寒気がした。
 

「・・・とりあえず、何かいい手無いか?」
 
「いい手?・・・あるっつーか、自分が試した奴だけど、相手男だろ?謳雅にとっては1番の解決策ではないと思うぜ?」
 
「・・・・・・今ので何となく分かった・・・。まぁ、今のところそれ以外思いつかないし、それでいいわ。どうせストーカーも男なんだったら、さっさとケリつけた方がマシだしな」

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あきゅろす。
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