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長編
一緒に帰ろう
思ったより時間かかっちゃったな。
帰ろう帰ろう。


帰る準備をして、下駄箱に向かう。下駄箱の近くまでいくと、どうやらちょうど運動部の練習が終わって帰ってきたところのようだ、がやがやしている。

ユニフォームを見ると、サッカー部のもので、みんなが運動靴を履き替えている。邪魔にならないように端に寄って待っていると、普段接点がない運動部所属のクラスメイト
たちの中で1人、最近よく喋るようになった人物がいた。


「あ、ゆうくん!」
「あれ、秋一くん。どうしたのこんな時間に、珍しいね」
声をかけると、ゆうくんは驚いて、でも笑いかけてくれる。
「あ、今日はその、勉強してて」
「勉強?うわー偉いね」
たまにだけど、宿題をやってから帰ろうかなって気分のときがあって、今日も教室に残ってしていたのだ。

今日はいつもより時間がかかってしまって、部活動が終わる時間まで残っていたみたいだ。
僕は帰宅部だから、サッカー部のゆうくんと帰りが一緒になることは普段はほぼない。


「そんなことないよ。ゆうくんは部活もう
終わり?」
「うん。あと着替えて帰るだけー」
そっか。
こ、この流れは、あれ、言うべきだよね…?よしっやってみるぞ。
「…あ、あの、」
口ごもる僕に、ゆうくんが、ん?っと優しく聞き返してくれる。
「えと、部活、お、お疲れさま!」
な、なんだか気恥ずかしい。

僕が恥ずかしくてあわあわしていると、ゆうくんは得意技の必殺!「まっすぐ見つめる」を使って、
「ありがとう」
ってすごく真剣に言ってくれるもんだから、僕は余計にあわあわしてしまった。

「秋一くんも、勉強お疲れさま」
おっと、ゆうくんのその笑顔はだめだよ。
王子様スマイル、破壊力すごいや。
あ、ありがと。と僕は俯きながら、消え入りそうな声で言う。やっぱり照れ臭いな、でも嬉しいな。

ちょっとして、僕がまたねを言おうと顔を上げると、ゆうくんはなぜか僕のことをじーっと見つめていた。
なんだろ、顔に何か付いてるかな。


「ねえ秋一くん、今日一緒に帰らない?」
「へ?」
そんなこと言われるとは思わなかったな。
「俺帰る準備あるし、待たせちゃうから、
秋一くんが大丈夫ならでいいんだけど…」
一緒に帰る。王子様と。
…そんなことしていいんだろうか。

でも、
「全然大丈夫!か、帰りたい。一緒に、ぼくも!」
うわあ、何言ってるんだ僕!だってこんなの慣れてないし…。
ゆうくんの反応み見るのが怖かったけど、
すっごい満面の笑みを向けてくれたから、
少し安心した。
「よかった!じゃあすぐ来るから、待っててね」
「う、うん!」



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