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長編
断ってあげよう2
「秋一くん、また掃除代わっちゃったの?」
めちゃくちゃ下向きながらほうきを掃いていたら、ふいに上から声が降ってきた。

すいと見上げると、ゆうくんが同じくほうきを持って立っていた。優しい顔で微笑んでいる。
「ゆ、ゆうくん!うん、そうなんだ。用事があるからって…」
嘘だったけど…。
あ、そうかゆうくん今日掃除当番か。


僕が答えると、ゆうくんは、笑っているんだけど、妙に苦い顔をしながら、
「もう、優しいなあ秋一くんは。あの子何回目?大分代わってあげてるよね」って。

断れないだけだから、優しくなんてないんだよ。というかゆうくん!僕なんかのこと見ててくれてたなんて!やっぱり優しいなあ。


「そう、だね。何回か代わってるけど…」
「ね、今度また代わってって言われたら、
俺に言ってよ、断ってあげるから」
な、なんてかっこいいんだ。さすがゆうくん。


「い、いいよ!ゆうくんに面倒なことさせられないし」
「面倒なんかじゃないよ。言ってね、約束だよ?」
そう言ってゆうくんは、小指を僕の前に差し出す。
…どうしたものか。でも、しっかりと面と
向かって話してくれたのが嬉しくて、僕は
ゆうくんに甘えることにした。


小指を絡めながら、答える。
「うん、じゃあ約束…。あ、ありがとう!
ゆうくん」
「ふふっ、どういたしまして」


ゆうくんの優しい優しい笑顔に心が満たされて、さっきまでの鬱な気持ちが嘘みたいに吹き飛んだ。
やっぱり王子様はすごいや。



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