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長編
断ってあげよう
ゆうくんはみんなの王子様だ。
かっこいいし、頭もいいし、運動もできる。
それに背も高くて、中学2年生の時から身長が伸びてなくて、チビな僕からしたらうらやましくてしょうがない。


僕なんてなんの取り柄もなくて、普通すぎて嫌になる。
いや、むしろ悪いことの方が多いかも。
勉強は割と好きだけど、運動はからっきし
ダメだし、友達作りが苦手だから、友達は
そんなにいない。顔だって全然派手じゃなくて、普通の日本人顔だ。


僕はそんな自分のことが嫌いで、いいところ
なんてひとつもないってすぐ卑屈になっちゃう。人と比べたりもするし…僕は性格も悪いんだ。

でも、ゆうくんは僕と違って性格までいい。
クラスの人みんなに優しいし、いつもにこ
にこしてて紳士的で、ほんとにすごいよねえ。僕なんかにまで時々話しかけたりして
くれるんだ!


他の人とは自分を比べちゃって、暗い気持ちになるけど、ゆうくんにはかなわないなあーってなるし、第一僕にまで優しくしてくれるっていう時点で、他の人とは違うんだけど!

だから、女子からはもちろん、男子からの
人気も高い。
休み時間にはゆうくんの周りにいつも人が
いるし、男子とサッカーしに行ったり、それから、よく別のクラスの女の子に呼び出されてもいるのだ。きっと告白だろうな。

僕は、女の子から話しかけられることなんて、委員の用事か、雑用ぐらいでしかない。


そういえば、ゆうくん彼女いるんだろうか。聞いたことないけど、いるんだろうな、
うん、いないわけがない。
彼女か、僕には、縁のない話だな。いつか、できたらいいけど。

というか僕の場合、最近は女の子にいいように使われてしまっているというひどい事態なんだけど。ほら今だって、せっかく女の子が話しかけてきてくれたのに。


「三上くん、ごめーん今日の掃除代わってくれない?どうしても外せない用事があってさあー」
「え、あ…うん、い、いいよ」
こういうの断れた試しがない。ちなみにこの子は、掃除代わってくれなーい?の常習犯だ。ちょっと怖い感じだから余計に断れない。男が女の子にビビるなんて、かっこ悪いよね。はあ、自分の性格、直したいなあ。


「ありがとう〜!今度私も三上くんの掃除
代わるからね!」
…いや、代わってもらったこととか、
ないけど?
「みほー!早くしないとお店混んできちゃうよおー」
「ごめんごめん、今行く!じゃあ三上くん、よろしくね!」
どうしても外せない用事、ね。どうせカフェとか行くだけなんだろうな。
もう、なんだかどうしようもなく鬱になりかけながら、仕方なく掃除をし始めた。



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