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過去Novel


「どうしたんだ、お前。」


辰弥は僕を心配してる、優しいから。


「とりあえず危ないからこっちに来い。」


でもそれは僕の甘えを引き起こすだけだ。


「来るな!」


僕は独りが良かった。
昔のように、独りのセカイ。


「僕は強かった!貴方が僕を弱くしたんだ!」


辰弥はきっと悲しそうな顔をしてる。
でも僕は止まらない。


「貴方の所為だ!でなきゃ僕は!僕はっ」


だんだん声が消えてしまう。
辰弥の所為にしなければ僕は今までの僕が僕じゃ無くなるような気がしてならなかった。
言い放っても罪悪感と虚無感しか残らないのに。
暫しの沈黙そして


「僕は飛べないんだ。」


唐突に言い出す。


「僕は鳥の名前を持ってるのに、飛べないんだ。」


小さくて、白い、こんなひ弱い手じゃ飛ぶ事も、大切なものを包んで守ることも出来ない。
何も掴むことすら出来ないんだ。

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あきゅろす。
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