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過去Novel


僕は走った。
胸が苦しい、足が重い、息が出来なくなってきた。
体力が少ないとかそう言うレベルじゃない。
勝手に病気になりやがって、使えない体だ。
だんだん僕に違う僕が混じり込んでくる。
殺してやる!人間なんか大嫌いだ!
頭に響く、これは警笛、僕は人を殺めて良いほど強くない!
僕は小さな命一つ守れないんだ!

頭の中でぐるぐるぐるぐるしながら階段を駆け上がる。
僕は何かを振り払うようにマルクトの屋上のドアを思い切り開いた。

でもそこには広い天色の空が広がって、僕が如何に小さいかを知らされた。
息が吸えなくて、体が震えて、酷い眩暈が襲ってきた。
空が廻る、僕は遠くに連れて行かれそうになって、固いコンクリートに引き寄せられる。


「美世!」


ピントの合わない僕の目は赤い塊を捉えた。
辰弥が不安そうな顔で僕を見てる。
どうして此処に…?



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