過去Novel
◇小鳥の夢
(美世side)
「僕はなんて無力なんだろう・・・」
そう呟いた声は哀しくも冬の空に吸い込まれた。
ここの所任務で忙しくてマルクトに行っていなかった僕は久しぶり通学路を歩いていた。
何だかんだ言って登校させたくないらしい辰弥は迎えに行くから実家から歩いていけと煩くて、仕方ないから歩いている。
せっかく早く家を出たのだから最近会ってない野良猫達に会いに行こう、そう思って僕は遠回りをした。
少し行くと白い家があってその家の塀をまがって庭の裏、僕達の秘密の場所、のはずだった。
そこには僕と同い年位の男子が3人がいた。
僕の時計は2秒位止まった。
そいつらの足元には僕の顔見知りでは無いけれど黒い猫が倒れていた。
新入りだろうか、黒猫君。
君はそいつらにやられたの?
まだ息があるの?
黒猫君が僕に向かって蚊の泣くように声を発した。
その後はあまり覚えてない。気付いたらそいつらは倒れていて、黒猫君は血の付いた石と同じく息をしていなかった。
黒猫君の命はくだらない人間の悪ふざけで手折られたのだ。
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