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過去Novel
◆パンテーラ


無い

無い、無い、無い。


そう何度頭の中で繰り返しただろう?
弥夜は柄にもなく必死になっていた。
どうやらROSSOの子猫は大切なものを紛失してしまったらしい。

「みぃちゃん、そんなにあわててどうしたんだい?」

功力がいつもの笑顔で話しかける。

「・・・・無いの」

普段みぃちゃんと呼ばれると怒る弥夜が怒るのを忘れる程慌てている。
これは大変珍しいことで功力は少し心配になる。

「何がないのかな?」

「・・・・」

「内緒のことかい?」

「あのね・・・」

背の高い功力が屈むと弥夜は小さな手を口元で筒にして、こそこそと話した。






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