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過去Novel
◇甘美な服従
(美世side)



「良くやったな。」

貴方が僕を褒める。
御褒美に僕の長い癖っ毛を撫でる。
褒められることなど殆ど経験してこなかった僕にはまだくすぐったいけど、僕はこの手が好きだ。
優しく、強引に、時に艶めかしく僕を翻弄するこの手が堪らなく欲しくなる。


「愛してるよ。」

貴方が僕に愛を注ぐ。
それはそれは湯水のように、貴方の都合で。
僕は愛とか情とか言うものから随分と遠い所で育った所為か、貴方の言動の総てが愛なのだと思ってしまうよ。
仕方ないよね。
貴方がそうなるように、貴方が僕に教え込んだのだろ?


「ミヨ。」

貴方が僕を呼ぶ。
甘いベリーニのように。僕はこの名前が嫌い。
忌々しい過去と忌々しい人を纏わせるものだから。
だから貴方は新しく漢字を当てて僕に名前をくれた。
弥夜という僕の名前、読みは同じでも響きが違う今の僕の名前。
辰弥の弥の字を僕にくれたんだ。

でも、僕は知ってるよ。
それは首輪であり、僕を繋ぐ枷だってこと。
繋いでも良いよ、大人しくはしないけど。
そこは猫なのだから譲歩してよ。
賢い貴方は知っているよね?
猫を囲って買うのなら、本気で相手してくれないといけないんだよ?
じゃないと猫は二度と逢えない処へ行ってしまうからね?





Fin

ボス(本文中)は美世と弥夜を書き分けて男女の区別をしていますが基本的には弥夜と呼んでいます。
ごちゃごちゃしててスミマセン。

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あきゅろす。
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