言葉にしなくても
「んー…銀時ー…」
「ほら…早く着替えろって…」
酒に強い金時が、酔っ払って帰ってきた。こういう時は決まって俺に甘えてくる。いや、甘えると言うより頼ると言った方が正しいかもしれない。
金時が酔っ払って帰ってくるのは、仕事場かどっかで嫌な事があったからだ。
けど俺は、何があったかなんて聞かない。酒臭い金時を面倒だからと言って突き放したりはしない。
俺を頼ってくるのなら、俺は何も言わずに傍に居てやるし、世話だってする。
俺が今の金時の様な状態になった時は、金時が今の俺の様に傍に居て甘やかしてくれる。
俺達はそうやって、互いに頼り、頼られる存在である事を望んでいる。言葉にしなくても、なんとなく分かるんだ。
だから俺達は一緒に居る、何があっても。
「…銀時…」
「んっ…」
求め合ってる内に、いつの間にか愛し合うようになっていた。一つのベットで一緒に寝て、たまに風呂にも入る事もある。
「…銀時かわいー…」
「…っ…バカヤロー…」
「クス…俺、可愛い銀時好きー」
「酔っ払い過ぎだお前はっ」
「酔っ払ってねーもん、俺はただ銀時を愛してるだけ」
酔っ払ってる金時は厄介だ。俺に可愛いを連呼してきてキス魔になる。俺は拒む事はしない、けど金時のキスはかなり上手いから、いつも力が抜けて金時に寄りかかる事になる。
それを満足そうに見つめてくる金時は俺を押し倒してさらにキスをしてくるんだ。
「ん…ふっ…きんっ……」
「んー…まだ止めない」
「ふ、ぁ…」
しばらくの間金時にキスをされ続けて、やっと解放された時には俺は酸欠で口端からは自分のだか金時のだか分からない唾液が垂れている。
金時は言うと、呼吸を整えている俺の横で寝息を立てて眠っているのがいつものパターン。
もちろん今日もそのパターンで、金時は既に夢の中。俺は一緒に毛布を被ってそのまま眠りにつく。
朝起きた時に、傍に居るんだと思えるように。
「…おやすみ、金時」
こうやって一緒に居る事だけで、俺達は互いに助けられて生きていける。
言葉じゃ言い表わせない程、お互いの存在は大きいものなんだ…これからもずっと…だよな、金時。
END
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