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とある短編の共同作業
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染めているというより自然な感じの濃いめの茶髪で中肉中背の少年は、その花壇の上で頭を抱えたい気持ちになっていた。
彼は夏喜の同級生、上条当麻(かみじょうとうま)の弟である。

7月17日、それまで大能力者だった瑞樹は、尋常ならぬ努力の末、学園都市の頂点、超能力者にのしあがった。
そう、彼は学園都市8人目の超能力者である。
彼は異能力者(レベル2)からスタートして、小学5年生の時には既に大能力者になっていた。
それから2年程、能力の向上はみられなかったが、とある少女の影響で努力を始めて、やっと超能力者になれた。
そのとある少女とは、御坂美琴。
瑞樹はそんな彼女に好意を寄せていた。

しかし、今、その美琴が見知らぬ男とハンバーガーを食べている。もう一人女の子がいるが、そんなのはたいした問題ではない。
問題なのは男が共にいるということだ。見たところその男は高校生のようだが……。

「のようだが……誰なんだよ畜生!ハッ、まさか彼氏……いやいや、ないだろあの御坂が……いや、でもあり得るな……うわああぁ」

瑞樹は頭を抱えてうなだれた。

「くそ……オレはいったいどうしたら…」

瑞樹は泣きそうな顔で再びファーストフード店の中へ視線を戻す。
その視線はもう一人の女の子、穂邑夢姫をとらえていた。

「ってか、もう一人の人もカワイイし……なんなんだよあの男は!」

そしてその表情は悔しそうな表情へと変わり、自分の膝を強く叩く。
瑞樹は花壇の上で様々な表情をグニャグニャと繰り返していた。
そしてしばらくグニャグニャしながら、導き出した結論。

「仕方ない、オレはあの場に突撃する。話しかけて事実を知るんだ!それしか方法はないだろ!!」

よーし、と一言大きく叫ぶと瑞樹は勢いよく立ち上がった。

そしてファーストフード店の入口へズカズカと速足で向かう。何かを決心したかのように力強い表情で。
しかし。
入口にさしかかった時だった。

「……って?!」

勢いよく進む瑞樹の肩が、とある通行人の肩にドンッと大きな音をたててぶつかってしまった。
瑞樹は驚き、ぶつかった相手の姿を慌てて確認する。
その相手は、明らかに染めていると解るような茶髪に、目に少しだけかかる程の長さの髪の少年だった。
制服はYシャツの前を全開に広げていて、その下には派手な色のTシャツを着用している。
とにかく、着こなし方はどうあれ一応は制服を身に付けている所を見ると、ちゃんと学校に通っている生徒のようだ。
しかし目つきがあまりよろしくない。
下手をすると絡まれるかもしれない、と瑞樹は頭の中でどう対応するかを考えたが、

「ククッ、すまねぇ」

予想外の事に向こうから先に謝ってきた。
瑞樹は一瞬固まり、よくわからないまま言葉を口にする。

「……え、ああ、スミマセン」

「キヒッ、テメェも急いでたみてぇだが、俺ももちっとばかり急いでいたからな。ハハッ、お互いさまってワケだ」

瑞樹がぶつかった男は、そう言い残すと、ファーストフード店の中へ入っていった。

「あ、そうだったんスか」

瑞樹もそれに続いて店内に入った。

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あきゅろす。
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