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〜龍と刀〜
夢の中]X
受け取った球体を握り締め、マーワルドは声を張り上げる。

「リーザ!そこを退いてくれ!その扉……吹き飛ばす!」

諦めることなく扉と戦っていたリーザは言われるがまま飛び退き、距離をとった。
それを確認し、火薬を押さえつけていたピンを勢い良く抜き放つと同時に手を離す。一体どうするつもりなのかと目を見張ったが、図ったようなタイミングでアスラが漆黒の翼を羽ばたかせ、強風を巻き起こした。
風に押されて当然の如く球体は扉の下へ。しかし、アスラはそこで羽ばたきを止めずに何度か翼を動かした。
ドウッ!という爆音が建物全体を揺らし、ビクともしなかった扉を一撃で粉砕したのだ。本来なら球体や扉の破片、灰や煙などがこの場を包むはずだが、アスラの羽ばたきのお陰でそうならずに済んでいる。
被害は恐らく扉の中だけなのでは無いだろうか。

「ひゃーこの威力は凄まじいわ……何個か調達しておかないと……」

「それじゃあ、領主様にお目通しさせていただくとしましょうか」

黒煙もだいぶ収まり、部屋の中の状況が目視出来るようになっているようだ。
足元からはパキパキと砕け散った木片やらが音を鳴らす。
その部屋の片隅で肩を抱えて震えている人物をマーワルドの目が捉えた。

「ちょっと待って」

近付き、話を聞かせてもらおうとしていたのを制止するリーザ。何事かと思い身構えるマーワルドとアスラだったが、特段変わったことは見受けられない。

「あなたは……誰なの?」

「何を言ってるんだ?この人こそ、領主様だろう?」

「……違う」

先程よりも冷めた、感情の籠もっていない言葉は、否定。

「違うわ……!騎士団との交渉に現れていたのは肉の塊みたいに太ったやつよ!こんな、こんな痩せこけた貧相な奴じゃない!」

手に握っていた槍を素早く構え、一気に突き出した。膝を抱えていた痩せた男の服に矛先を引っ掛け、持ち上げる。刃こぼれをして切れ味の落ちてしまった槍だから出来る芸当だ。そしてそのまま力任せに槍を壁に突き刺し、自身は飛び出して男の胸倉を掴み取る。
その一瞬の行動に男はおろか、マーワルドすら反応は出来なかった。

「お、おいリーザ−−」

「答えて。あなたは誰?」

冷徹な言葉に男は虚ろな瞳を向け、かすれた声で答える。

「この町の……本当の領主ですよ。騎士様……ブロワ。私の名です」

「本当の……?」

「私は幽閉されていたのです。大量の鉱石が採れると王の耳に入り、密使が来ました」

ようやくリーザの拳に込められていた力が緩められ、ほんの少しだけほっとしたような表情になったブロワ。

「この町を明け渡せと。さもなくば……」

言いにくそうに口を噤むブロワに気付いたマーワルドは即座に、町に要求されたものを看破した。

「民ごと、か。それであなたは了承し、幽閉された……騎士団がここに居る理由はあなたの監視の意味も含まれていたという訳ですね?」

「その通りです」

「では、本当の黒幕は……」

「はい、この『国』ということです」

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あきゅろす。
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