〜龍と刀〜 突入!夏休みW ***** 昼食後も日が暮れるまで遊んだ面々は、それぞれ部屋に案内された。 「いやー久しぶりに羽目を外しまくって遊んだなあ!」 満足そうにドサッと腰を下ろす井上。 「井上から羽目なんて言葉が出るとは、ねえ?」 「ああ。いつも羽目どころか、常に頭のネジ数−−全部外れてるもんな」 「何で言い直した!?」 そんないつも通りの会話を続ける陽は、依頼された事を少し思い出してみた。 旅費等は全部依頼主側が持つらしいが、ここの、春空の家が経営しているという旅館がある事も知ってての事だったのだろう。そうでないとあまりにもタイミングが良すぎる。 「(さっさと片付けて、ゆっくり羽を伸ばさせてもらうぜ)」 せっかくこんな遠くまで来たんだ、遊んでいかないでどうする?というのが心の声。 「ふっふっふ……あとはメインイベントだなぁ、中島!」 「こういう時は意見が合うみたいだね井上」 この二人の意見が合うという事は、どうせろくでもないのだ。むしろ見え見え過ぎて呆れてくる。 「と、いう訳で」 「死ね」 即座に切り捨て、そっぽを向く。 「まだ何も言ってないじゃん!」 「そうだよ龍神!話だけでも聞かないかい?」 何故そうまでして共犯者に仕立て上げたいのか理解する気にもならないのだが、とりあえず言い訳を聞いてみる。 「まず風呂に行こう!」 この一言で二人が何をしたいのか容易に想像がつく。それでも、海水を浴びた体をそのままにしておくのは嫌なので、そこだけは頷いて許す。 「そこでまあ色々と、だよな」 無駄に言い淀む井上。分かってるのだから早く言ってしまえ、と軽くツッコミをしておいた。 「そうだね。間取りとか死角になる場所とか調べて来たし」 眼鏡の位置を直す中島の動作は格好良く見えるが、言ってる事がとてつもなく格好悪い。それが中島。 「まあ……風呂には行きたい。お前らがどんな姿に成り果てようが知った事じゃねえし」 「はぁ〜欲が無いよな、龍神ってさ」 「大抵女の子と一緒だもん。そりゃあ無くなるよね」 憐れみの目を向けてくる二人。 「うるせえ。行くんだったら準備しろよ……五秒くらいでな」 無茶振りをしたつもりだったが、井上と中島は言われた通りに支度を終えた。こういう事になると処理速度が上がるらしい。 [*前へ][次へ#] |