〜龍と刀〜
突入!夏休みT
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「何でこうなるんだ……おかしいだろ、誰の陰謀だよ」
陽は額に手を当てうなだれる。
日光が燦々と降り注ぎ、それが海面に反射して……まさしく夏であった。
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事は数時間前に遡る。
夏休み初日、陽は出掛ける支度をしていた。こういう長期休暇は何故か月華が来ない。大方宿題を片付けているのだろう、というのが陽の見解。そのため、自分で起きなければならないのだ。
「まあ、こんなもんか……じゃ、行ってくる」
支度−−必要そうな物を適当に詰め込むだけ−−を終え、気だるそうに立ち上がる。
「うむ。ゆっくりして来ると良い」
「出来たらそうしたいなぁ……」
依頼の内容は紗姫には話していない。何故ならあの後に再び電話があり、手助け禁止・その場での対応をさせろとの要求があったのだ。つまり、紗姫の実力を見極める、いわばテストのようなモノ。
「おはよう龍神君。急がないと船の時間に遅れるわよ」
そんな陽の苦心も露知らず、ただの旅行だと聞いてはしゃいでいるのだろう。特に服装が何よりの証拠だった。
「お前……目立ちたいのか?(あー、ちゃんと説明しときゃ良かった……)」
白いノースリーブのパーカーを羽織り、その中も白を基調としたシャツを着ているみたいだ。下は、ジーンズを太股の辺りからざっくりと切ったような物で、暑いのは分かるのだが、全体的に見て露出度が高い。
「私がどんな服を着ようが私の勝手よ。それより、早く行きましょ」
ただでさえ金髪で目立っているのに、これでは余計に目立ってしまう。現時点でかなりの視線が注がれている。
無意識なのか自覚しているのか、後者だとすればかなり狡猾だ。さすがは狐、と言わざるを得ない。
島への移動は船だった。初めての船旅だったらしい紗姫はとても楽しそうだ。対する陽は、当然ながら興味無し。
「ふわぁ……おい紗姫。俺は寝てるから着いたら起こせよ」
「はいはい。分かってるわよー。私は外の景色でも楽しんで来ようかしら」
その後ろ姿を横目で見てみたが、やはり目立っていた。そして陽は睡魔に身を委ねる。船の揺れの心地よさと日頃の疲れのせいも合ったのか、眠りにつく事はとても容易かった。
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