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〜龍と刀〜
龍の名を冠する少年U
爆発が起きた場所は、土が深く抉りとられていた。

「あぁー爆発するとは思わなかったな……結構力抜いたはずなのに。おかしいな?」

「あれで抜いたつもりか?以前と殆ど変わっていないではないか」

「悪い悪い。っと、マズいなこりゃ……誰かが通報したかな」

耳を澄ませば聞こえてくる、サイレンの音色。少年にとってはただの耳障りな雑音でしかない。
なぜなら少年は、三回程似たような騒ぎを起こし、事情聴取を受け、警察に目を付けられているからだ。爆弾魔ではないかと。
実際の所、少年は爆弾魔でも無ければテロリストの一員でもない。
ただ単に、力の加減が出来ない、他人と自分の力の差が分かっていないだけの事。確かに日本刀を携えてこんな夜中に山中を歩き回っているという異常があっても、本質的には一人の少年であるのだから。

「さて、次は無いって言われてるからな……帰り道は……どっちだ!?」

散々走り回った挙げ句、自分がどっちから来たのかさえも分からないらしい。
こうしている間にも、刻一刻とサイレンが近付いている。
あと数分もすればここは、調査員や消防隊とやじうまの人だかりが完成するであろう。

「……ここを直進すれば東。まずは森を抜け出すのが賢明な判断だ」

少年は白銀に言われた通りに走り出す。住人達も起き始めたらしく、家々の電気が点っていく。

「お前は加減という言葉を知っておるのか?たとえ龍の血を引き、力があってもだな−−」

走っている最中ずっと白銀に説教を受けている少年。多分であるが、聞いていないだろう。先程から「分かってる、うん」としか言っていなかった。

「もう良い……それより、早く帰った方が良い。学校へ行かなければならないのだろう?」

少年は長い溜め息を吐く。それが、説教が終わった事についてなのか、それとも学校についてなのか……両方、という考え方もある。

「これからも、しっかりな。龍神 陽(タツガミ ヨウ)」

「な、何だよ白銀?改まってさ。……まぁ、俺に任せとけって!」

少年の名は龍神 陽。

夜も大分明け始め、人々や動物達も活動を開始する。
山々の間から顔を覗かせた太陽が、陽の瞳にはいつもより輝いて見えた。


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あきゅろす。
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