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〜龍と刀〜
デート……!?U
それから陽は騒がしい家族の間をすり抜けて手早く仕度を済ませる。とは言っても洗顔して着替えて、程度なのだが。髪は相変わらず寝癖を潰したくらいだ。

「龍神って結構傷だらけなのなー」

同室で朝からゲームを開始した井上がそんな事を口走る。先程までは着いて行くんだ!とごねていたのだが、冷静になったらしい。友人を信用しての事だろう。

「お前、何見てるんだよ……」

「別に男の裸に興味ねえよ。女の子なら大歓迎だがな!だからそんな目をしないでくれよお!」

「はぁ……」

白いシャツに袖を通し、これで着替えも完了だ。あとはこの鞄を持って待っているであろう葵と合流すればいつでも出掛けられる。

「ん?鞄も持ってくの?」

「ああ。そのつもりだけど」

「別に置いていってもいいぜ?戻ってくるだろ?」

「そうか……そうだな。じゃあ置いてく。漁るなよ?」

念には念を押さないと、井上は何をしでかすか分からない、と陽は鋭い目線で威嚇。別に漁られても困る物は入っていないみたいなので問題ないはずだが。

「さっき俺の体見てたし。引くわ」

「引くなよ!そっちの趣味はねえって!その証拠に……これを見ろよ!」

声を荒げながら指差したのは昨晩もやっていたアクションゲーム。何を言いたいのか分からない陽は首を傾げて次に続く言葉を待つ。

「主人公キャラは女の子にする!そして見た目で装備を追及するのだ!」

「ただの変態なんじゃねえの?」

「違う!内容を楽しみつつ、他の事でも楽しめる……それが良いんじゃないか!」

「ホントにゲーム大好きだな……飽きないのか?」

いつも以上に饒舌で、テンションの高い井上に少々冷ややかな視線を送りつつ携帯をチェックする陽。
しかしそんな視線には慣れているのか、変わらずにゲームをやり続けている。

「飽きたら別のやるし」

「そういう問題なのか……?」

「そういう問題だぜ!ってかそろそろ行かなくて良いのか?」

「引留めたのは誰だよ……」

勿論そんな事など既に頭に無い。今はゲームをプレイする事に全ての神経を使いたいらしい。昨晩、一緒にゲームをして思ったらしいが、プレイ中は本当に同一人物なのかと疑いたくなる程に冷静な判断が出来るとの事。

「人間何かしらの才能があるんだな……」

「何か言った?俺は今モンスター狩ってるけど」

「誰も聞いてねえよ。それじゃあ行ってくる」

画面に熱中するとこの状態になるのが分かったのはある意味収穫なのかもしれない、と思いながら陽は部屋を出ようとする。

「行ってらー。葵に変な事されたら連絡しろよー」

「普通逆なんじゃねえかな……?」

「大丈夫。龍神はそんな事しないから!だけどあれは分からんぞー。なんと言っても俺の妹だからなっ!」

「お前それ自分の事……いや良いわ」

心配しているのかいないのか分からない台詞を背中に受けながら、陽は出発を決意。外は相変わらず寒いのだろうか。

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あきゅろす。
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