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〜龍と刀〜
夜の学校へ
結局やることは見つからず、ただただ暇を持て余していた。
そういう時はこれしかない。

「寝よ……」

最近睡眠時間が少なくなりがちだったため、この際だからということで。

「ふあ……大体月華が家に来るのが五時過ぎだな。四時間も寝れりゃ充分か」

残り三十分ほどになれば犯人が分かる仕組みになっている推理物のドラマ。
昼飯を食べながら見ていたので展開が分からないが、犯人はこの男だろ、と一言付け加えてから乱暴にテレビのスイッチを押した。

近くに合った座布団を折って枕代わりにする。床は畳なので、寝心地は最高だ。

「やっぱ日本人は畳だよな……」

それから眠りに入るのは十分と要らなかった。
いつもはうるさい蝉の声だが、今だけは快く感じられた。


*****


陽が目を覚ましたのは、午後六時を少し過ぎた辺り。

「ん……飯の、匂い?六時だよな……?何でだ?」

立ち上がり大きく背伸び。
未だ眠たそうな目を擦りながら匂いのする方へと歩いていく。
途中色々ぶつかったが、気にしない。

テーブルの上には、ラップされた料理が並べられている。
その横にはノートの切れ端と思われる一枚の紙切れが。
文面はこうだ。

今日から早く帰って来いってお父さんに言われてるから、帰るね。月華

「俺としては、好都合だな。夜中に抜け出してもばれる心配ないし」

近頃物騒だからという理由もあるが、月華の父が早く帰って来いと言うのは、陽が狙われているのを知っているからだ。
自分の娘を巻き込みたくないという理由だろう。
陽としても月華は巻き込みたくない訳だが。

「……飯だ、飯!」

まだ六時過ぎだが、温かい内に食べておこうと思った。


*****


午前二時。
誰も居ない深夜の学校の校門前に二つの人影。

「うぅ……眠い」

一人は大きなあくび。

「寝てくれば良かったんじゃない?別に一人で出来る作業だし〜」

もう一人はヘラヘラと笑っている。
まったく眠気を感じさせない。

「じゃあ呼ぶな!」

「だってよ〜怖いんだよ〜夜の学校だよ?何か出そうだし」

口ではこう言っているが、感情がこもっていない。どちらかというと面白がっているみたいだ。

「大丈夫でしょ。この学校に霊的な力は感じませんし……それに、あんたを見たら逃げるだろ。幽霊も」

「本元が誰をやったかは知らんけどさ〜それでとばっちり受けるのも嫌なんだよな〜……さて、それじゃあ行きますか。龍神、作業内容は言った通りだから」

一人は校門に取り付けてある柵をひとっ飛びで越えて、中に侵入。

「分かってますよ……先輩、ホントに忍者なんだな。動きが軽い……式紙なのに」

陽も式紙幸輔に倣い柵を越える。
二人に依る夜中の作業が開始された。

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