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〜龍と刀〜
夢の中]]W
「ん?」

リュハネンの大きな手に微かな衝撃が。首を傾げ、何かが投げられたと思われる方向に視線を向ける。

「リーザに、触れるな……っ」

倒れていたマーワルドから微かに弱々しい声が発せられたのだ。その手には小石が数個、握られている。

「……」

リュハネンはマーワルドを完全に無視してリーザの首をガシッと掴む。細い首を押さえられ、小さな呻き声が漏れる。

「貴様のようなちっぽけな者など相手にしている暇は無いのだ。野垂れ死ね」

「黙れ……英雄だか、何だか知らないが……調子に、乗るなよ……!」

鉛のように重くなってしまった体を無理矢理動かす。剣を深く地面に突き立て、杖代わりに。それでも何とか片膝を立てることが出来る程だ。

「そんな状態で俺の前に立つなど無謀過ぎるが……今の発言は気に食わぬ。我が手にて葬ってくれる!」

リーザを乱暴に投げ捨て自身は斧を掴む。既に臨戦態勢だ。

「立つことも出来ないか。赤子同然だな!大人しく−−」

「……!?」

瞬時に間合いを詰め、マーワルドが気付いたときにはもう斧は高く振り上げられていた。

「−−我が斧の錆となれぃ!」

空を切り裂く音。周りからの怒声や叫びが響く中、その音だけは鮮明に届く。命を刈り取ろうとする音が。
剣を上げることは敵わない。だが、このままやられたくはない。何か、反撃する手だては……策は……。

「その心意気さえあれば、大丈夫です」

不意に目の前から掛けられた声に驚きつつも、視界は霞んで誰が居るのかも分からない。
その直後、激しい金属音と衝撃がマーワルドを襲った。

「何者だ!」

「……答える必要などありません」

マーワルドを守った何者かは、振り下ろされた斧を片腕で受け止めている。その言動に驚きと怒りを隠せないリュハネンは全力で斧を引き戻そうとする。
しかし、

「貴様……!」

斧の刃はしっかりと握られ若干ではあるが、ひびも見て取れるではないか。

「その鎧……どこの国だ!」

「何度も言わせないで下さい。答える必要など、ありません」

リュハネンの目に映るのは漆黒の甲冑を身に纏った男−−声と鎧だけでの判断−−。

「余裕ぶりおって……!英雄相手に図に乗るなぁぁ!」

力の限りの怒声と勢いで、余っていた左手を振り回す。無理矢理に漆黒の男から武器を引き離し、態勢を瞬時に立て直す。その流れで自身の斧を投げ捨てた。
リュハネンの人並み外れた腕力によって放たれた斧は高速で回転しながら軌跡を描く。

「少しお借りします」

漆黒の男はマーワルドの突き立てた剣を軽々と引き抜き、片手で構える。その間にももう斧は眼前へと迫っていた。

「これは……防げるかァ!」

大声で叫びながら行く末を見るリュハネン。

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あきゅろす。
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