〜龍と刀〜 陽の学校生活U 授業開始のチャイムが鳴ってから五分程して、担当教師が到着。 急いで授業に取り掛かっている。 陽はまだ起きているが、多分、あと十分もすれば深い眠りにつくだろう。 「えっと、今日は十五日だから……龍神君、の後ろの人、春空さんね!三十ページの英文を訳してみて」 「はい……この国では、1968年に法が制定され−−」 この英語教師は、−−今年から教職に就いたらしい。しかも二十代ともあり、生徒からの評判も良い−−陽の事をどうやら不良と勘違いしているみたいだった。 無理もない。 立った髪(あくまでも地毛である)に開けたボタン、大抵が寝ている、容姿や素行がこんな風だから、という三箇所を挙げてみて、不良じゃないと言い切れるだろうか、いや出来ないだろう。 「ねみぃ……(俺ってそんなに不良っぽいのか?別に当てられないから楽っちゃ楽だけど)」 ずっと勘違いをされているのは居心地が悪い、だからといって何かをするというのも面倒。周りには迷惑だろうが、陽は基本的に面倒と決めた事は絶対にやらない。 この理屈で、四月の入学以来、どの教科もノートを取った事は無い。他の生徒ならこの時点で進級の心配をするのだが、陽はそれを機に学校を辞めて、頭首を探しに行きたいと思っている。 陽の意識が遠のき始める。睡魔様が迎えに来たみたいだ。 徐々に視界が揺らぎ出し、聞こえる声や音にはエコーがかかっているみたいになる。 陽は睡魔に身を預けた。 時間、十時ジャスト。 [*前へ][次へ#] |