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物質装甲
「キヒィ、俺の通り名知ってっか?回転変換よりこっちで呼ばれる事が多いんだよなぁ。物質装甲(マターアーマー)っつうんだけどよ」

『物質装甲(マターアーマー)』、美琴の能力が電撃使い(エレクトロマスター)でありながら、その能力の強大さゆえに多様している電撃でコインを音速の三倍で弾きだす、『超電磁砲(レールガン)』。
彼女はそれ故に超電磁砲として学園都市に名前が広がっている。本名は知らずとも、誰もが超電磁砲と聞けば理解できるだろう。
高宮もそれと同様である。高宮隆治、回転変換、その二つよりも、物質装甲という名前が学園都市で広く通った名前だ。

「フンッ、その理由はコレなんだよ」

高宮は再び足首を捻った。
すると、先ほどと同じく屋上のコンクリートの床がめくれ上がる。
そして、高宮の身体を軸として公転し始めた。
その速度が半端なスピードではなかった。
コンクリートの岩石が一つ一つの個体として認識できない。
コンクリートは線となり、その公転している数が多い為に高宮の身体を完全に覆い隠していた。
軸となる高宮は目視が難しい。ただ浮き上がるシルエットがそこに高宮が存在することを示していた。
その肉体を覆い隠す様は、正に鎧、装甲のその物だった。

「ほら、パトリス?まだ立てんだろぉ?これで終わりとか言うんじゃねぇぞ」

「クフフフ……高宮、君はいつも僕を驚かせてくれる……もちろんだよ。この程度じゃ終わらない」

高宮のお株を奪うような不気味な笑い声を上げながらパトリスは腕に力を込めて、身体を持ち上げる。
そして次に膝、靴と続く。

「ハハッ、立った立った。スゲェな」

そして、小さく唇を鳴らす。
実際、高宮は完全に急所をついた拳でパトリスを殴り飛ばした。
上手くいけば今の一撃でおわるかもしれないと思っていた程だ。
故に少しの驚きがあった。

「俺をナメないで欲しいな。このくらいじゃ終わらないよ」

「ま、そうみてぇだな。じゃなきゃあつまらねぇ」

「やっぱ高宮は変わってないね」

パトリスはそう呟いて、膝と背筋を伸ばし、完全に身体を立ち上がらせた。
そして、右肩の前に義手から生える剣をかざす。

「さぁ、ここからだよ?高宮」

「クハハハッ、やってやるよ。やってみてハッキリ決着着けようぜぇ」

高宮を公転するコンクリートの鎧が更に速度を増す。音速を超えているのか、その為に生まれる音がパトリスの耳を打ち、空気を強く震わせる。

「剣よ、岩石の射吹点に繋ぎ、標的の岩石を音速の速度で全て粉砕せよ!」

パトリスはそれにも構わず、剣を45゚の角度で強く振り抜いた。
その直後、空間に亀裂が走り、その亀裂から強く岩が弾丸となり標的の高宮へと向かって吹き出す。

(ヒヒヒッ、面白ぇ。じゃ、こっちもやるかぁ!)

瞬間、高宮を取り巻くコンクリートの鎧が止まったように見えた。
しかし、それは一瞬。コンクリートの岩石は全て回転の向きを変えて、パトリスの方向へと動き出す。
音速を超えるかもしれないかという速度で。

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あきゅろす。
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