式神の城
【エミ薙】3-2にて…
ステージ3-2だと思ってください。
(くっ、早い……!)
「こっちだっ!!」
唐突に手を取られ、薙乃は目を丸くした。
「……って、何っ!?」
自分の後をついてきた子供――エミリオが、自分の手を引いて前へと進んでいく。
「何だっ、いきなり!?」
思わず手を振り解こうとするが、薙乃は手の力を緩めた。
目の前を立ち塞がる敵の攻撃を交わし、悪魔を使ってそれらを撃墜している。
その姿を見ていて、薙乃は初めて彼と出会った時の事を思い出した。
まっすぐに前を見る、瞳。
『領民を助けるんだ』
その時に彼が言った言葉を思い出す。
強い意志を込めて放たれた言葉を。
(単に威勢が良いだけではない様だな)
信念を持って、彼はこの城に乗り込んできた。
その事が解らない自分ではない。
「ふぅ、ここまで来れば大丈夫かな」
立ち止まると、エミリオは大きく息を吐いた。
薙乃は未だ繋がれたままの自分達の手を見つめた。
「いい加減、手を放したらどうだ?」
「あっ、ごめん……」
慌てて、エミリオは手を放す。
開放された手を二、三度振ると、薙乃は静かに彼を見る。そして、こう言った。
「余計な事を……」
頬を赤らめていた彼の表情は、その言葉と視線に、途端にムスッとしたものに変わった。
「何だよっ、せっかく助けたのにっ」
「誰も助けてとは言っていない。そもそも、困ってなどいなかった」
「何だよ! せっかく……」
と言うと、エミリオは唇を尖らせてうつむいた。
「何が『せっかく』なんだ?」
「もういいよっ!」
「ならば、勝手に礼を言わせてもらう」
「えっ!?」
驚いてエミリオは顔を上げたが、薙乃は彼に背を向けていた。
薙乃はそっと、微笑んだ。
「敵が来るぞ」
おわり
初出 2006/10/15・Mixiの日記のコメント返しより
【あとがき】
自分の日記のコメント返しの中で、即興で書いた文ですf^_^;
多分この話の存在を知っているのは、この日記にコメントをくれた月神さんしかいないでしょうねf^_^;
個人的に気に入っているので、こっそりアップしました。
タイトルが思いつかなかったので、まんま載せますwww
CP・コンビは特に気にしていないのですが、この二人は好きです。
あ、エミリオの初恋の相手、というのもいいですね^^
まるでシリーズものの様なタイトルですが、他の組み合わせでの話を書く予定は、とりあえず立っていません。
(ごめんなさいm(_ _;)m)
話は逸れますが、3-2は苦手です。あの早さに未だ慣れません。
そしてその後の風の人の第一・第二も…orz
大きな花粉が全然かわせませんorz
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