旋光の輪舞＜会話形式＞
【ファビリリ】隊長のお誕生日を、 みなさんに気付かれない様にお祝いしたい
トントン
ガチャ
リリ
「おはようございます」
ファビアン
「はよ〜。リリ、今日は早いな。まだ30分だぞ」
リリ
「はい、今日は早く目が覚めてしまって……」
ファビアン
「ま、いつも15分前には確実に来てるけどな。ったく、毎日ギリギリで来るグスタフに見習ってもらいたいもんだ」
リリ
「そんな、隊長こそ、毎日早いですね」
ファビアン
「まぁな。隊長になってから、やんなきゃいけない事も増えたしな」
リリ
「ふふ、お疲れ様です」
リリ
（よかった。まだ誰も来ていない様ですわ。早く来て正解でした。どなたもいらっしゃらないうちに、早く……）
リリ
「あの、隊長……」
ファビアン
「ん、何だよ？」
リリ
「あの、これ……よろしければ……」
ファビアン
「えっ？ くれんの？」
リリ
「は、はい。今日は、ファビアン隊長のお誕生日ですよね。あの、ケーキ焼いてきたんですけど……」
ファビアン
「まじぃっ!? ってのか、覚えててくれたんだ、俺の誕生日……」
リリ
「そんな、忘れる訳ありません。先輩の、大切な日ですから」
ファビアン
「わ、悪ぃ。そういうつもりで言ったんじゃねぇんだ。その、祝ってくれるのが嬉しいっていうのか、な、なんかっ凄ぇ嬉しすぎて、驚いたっていうか……。悪ぃ……、けど、サンキュ」
リリ
「いえ……。あ、あぁ……、お、お口に合えばいいんですけど……」
ファビアン
「お前が作ったんだから、ウマいに決まってんだろ」
リリ
「そっ、そんな、買い被り過ぎですっ」
ファビアン
「そうか？ この前作ってくれたクッキー、すげぇウマかったじゃないか」
リリ
「ケーキは、あまり焼いたことがないんです……。デコレーションも綺麗にできませんでしたし……」
ファビアン
「開けていいか？」
リリ
「はい……」
かぱっ
ファビアン
「すっげぇウマそうじゃん！ クリームも苺もたくさん載ってるし！ サンキュ、リリ。本当で嬉しいぜ……」
リリ
「苺お好きなんですね。良かった、頑張った甲斐がありますわ」
ファビアン
「いや、そうじゃなくて……、リリに祝ってもらえたのが、凄ぇ嬉しいんだ」
リリ
「え……？」
ファビアン
「リリ……」
リリ
「ファビアン隊長……」
◆◇◆◇◆
（↓↓↓こちら、別室↓↓↓）
グスタフ「おおっ、いい感じで見つめ合ってんな〜♪ 二人とも、俺が仕掛けといた隠しカメラにも盗聴器にも、全然気付いていねぇみたいだし♪」
フィロメナ
「計画通りですね。念の為、隊員全員に早く来ていただいたて、邪魔をしない様に配慮した甲斐がありました」
忍
「その為の、１時間前集合だったんですか……」
セオ
「……くだらん」
グスタフ
「まぁまぁ、こうでもしなかったら、二人っきりになる時間が出来ないだろう。お互い奥手なんだし」
忍
「それはそうと、グスタフさん、こんなに早く出勤出来るのでしたら、常日頃から心掛けたらいかがですか？」
グスタフ
「え〜、毎日こんな楽しいコト待ってないし〜、俺イロイロと忙しいから♪ だいたいさ〜、早く来ようが遅く来ようが、仕事こなせりゃ、それでいいだろ？」
セオ
「……そう言うだろうと思った」
フィロメナ
「さあ、そろそろ計画通りに私たちも動きましょう」
グスタフ
「みんな揃って覗いてたなんてバレない様に、時間を空けてバラバラに出勤すんのな」
フィロメナ
「最初に私が。その後にセオと、その１分30後に三条さん。グスタフは始業時刻１分前でお願いします」
グスタフ
「え〜、せっかく早く来たんだからさ、せめて５分前に顔出させてくれよ〜、フィロメナさん」
フィロメナ
「わかりました。では、２分前でお願いします」
グスタフ
「１分だけっ!?」
忍
「貴方が早く顔を出せば、お二人に怪しまれるでしょう」
セオ
「日頃の行いを改めるべきだな」
グスタフ
「うへぇ……。ま、いっか。じゃ俺は、２分前に行くから」
フィロメナ
「では、そろそろ行きます」
◆◇◆◇◆
リリ
「ファビアン隊長……」
ファビアン
「リリ……」
トントン
リリ
「っ？」
ファビアン
「やべっ、誰か来たっ！」
（ファビアン、慌ててケーキの箱を机の引き出しに隠す）
フィロメナ
「おはようございます」
リリ
「おっ、おはようございます」
ファビアン
「おっ、おはよう。は、早いな、今日も」
フィロメナ
「ええ。リリも、今日は早いですね（にっこり）」
リリ
「え、ええ、まぁ……」
フィロメナ
「ふふ……」
◆◇◆◇◆
（↓↓↓別室↓↓↓）
グスタフ
「ふむふむ、ケーキは一番下の引き出しに隠しましたか。隠そうとしたってムダですよ〜、隊長サン。こっちはカメラ30台撮りつけてんだ。死角はないぜ♪」
忍
「設置したカメラと盗聴器は、あとで全部撤去してくださいね。絶対に、ですよ」
ゲスタフ
「へ〜い」
セオ
「……行ってくる」
◆◇◆◇◆
フィロメナ
「隊長、昨日お渡しした書類ですが……」
ファビアン
「あっ、ああ、それだったら出来てる。ちょっと待ってろ」
リリ
「あ、私も席に戻らないと……、た、隊長、ご説明ありがとうございました」
ファビアン
「あ、ああ……」
ファビアン
（良かった。フィロメナには見られてないみたいだな）
リリ
（危ないところでした……）
ファビアン
「これでいいいだろう？」
フィロメナ
「はい、結構です。あとはこちらで提出しておきます」
ガチャ
セオ
「……」
リリ
「おはようございます、セオさん」
フィロメナ
「おはよう、セオ」
ファビアン
「はよ〜。挨拶は基本だぞ」
セオ
「……」
リリ
「窓の外を見て、どうかなさいましたか、セオさん？ ああ、今日もいいお天気ですね」
セオ
「最高気温28℃の予想だ。これから気温が上がってくる」
ファビアン
「そうらしいな、今朝のニュースでやってたっけ」
セオ
「室内に生モノを放置するのは、どうかと思うが」
ファビアン
「なっ!?」
リリ
「ケーキの事、ご存知なんですかっ!?」
タタタタタタ………
タタタタタタタ………
バタンッ
グスタフ
「この馬鹿っ、何で喋るんだよっ!?」
忍
「セオさん、計画をお忘れになったんですかっ!?」
セオ
「ああ……、そうだったな」
グスタフ
「『ああ』じゃねぇよっ！」
ファビアン
「ちょっと待て！ 『計画』ってなんだよっ？ まさかお前達、俺達のこと覗いてたんじゃ……？」
フィロメナ
「はぁ……、バレてしまっては仕方ありませんね。実は……」
リリ
「い、一部始終を見られてたなんて……かぁ」
ファビアン
「お前ら〜〜〜っ!!」
グスタフ
「いや、だってさ〜、そうでもしないと二人っきりになれないじゃん」
ファビアン
「余計なお世話だ！」
忍
「あぁ〜もう。この際、怒っている前に、ケーキを冷蔵庫に閉まってきたらどうですか？ 生クリームは傷みやすいですから」
リリ
「あ、はい……（ケーキの内容も知られてるなんて……っ）」
グスタフ
「それよりさ、今からみんなで食っちまおうぜ。誕生日はみんなで祝うもんだろ♪」
フィロメナ
「では、皿とフォークを取ってきます」
ファビアン
「勝手に話を進めるな〜〜っ!!」
おわり
後日談（むしろメインwww）は、こちら。
【あとがき】
遅ればせながら、ファビアンお誕生日おめでとう！
で、こんな話でごめんなさいm(_ _;)m
何とかファビリリでも１本誕生日ネタを〜、と思ったのですが、ツメが甘かったですね。
セオは計画を忘れた訳ではなく、ケーキが傷んでしまったら可哀そうだと思って、深く考えずに口を滑らせたんだと思います。
空気を読まないセオさん(18)www
いえ、ゴーイングマイウェイのセオさんは、空気を読んじゃいけませんwww
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