3.ツナ(+10、死ネタ?) 暗い部屋にその人は一人立っていた。 錆びた鉄の匂いがそこに漂う。 マワリニアルノハ、ナニ? 「ねぇ、何してるの?」 「名前は、俺の事どう思ってる?」 感情がない瞳で笑みを浮かべる幼馴染。 ススキ色の綺麗な髪や白い肌には血がこびりついている。 いつもはこんな事はない。 血の匂いだってさせないし、 スーツに血がこびりついてる事もない。 あぁ、彼の周りは血の海だ。 青白い顔の見知った顔達が倒れている。 「人殺しのツナくんは嫌い」 沈黙が流れる。 「そうだよね…。うん、それが正しいんだよね」 そう言うと、儚げに笑った。 彼は変わった。 マフィアだから、人殺しは仕方がない。 …それは分かっているけれど、 すればする程に彼の瞳に生は映らなくなっていった。 誰よりも優しい彼。 苦しみから抜け出せない。 それは、底なし沼みたいに続く闇。 彼が纏う黒とは正反対の白を纏った私は対峙する。 「隼人にも、武にも、リボーンにも、もう誰にも罪の意識を感じさせたくないんだ。 けど、俺がボスを」 「分かってるよ」 「けど、それじゃあ何も変わらないっ!!」 「そうだね」 「俺は、っ俺はどうすればいいと思う…?」 「それを、私に聞くの?」 「俺を嫌いなんだろ? …そしたら、違う意見が聞けると思ったんだ」 「違うよ、"人殺し"のツナくんが嫌いなんだよ」 「同じだよ!!…全部、全部、俺だ!!俺なんだよ!!…ねぇ、名前」 ヒステリックに叫ぶ彼に戸惑った。 黒光りするものが彼の頭の横に月光で照らし出される。 開かれた窓から流れる風に揺れるカーテン。 一瞬だった。 引金を引くと発砲音が鳴った。 傾く身体。 流れ出す血。 「…ツナ、くん?」 カシャンと音を立てて落ちた銃が転がる。 「ねぇ、君を ?」 黒光りする重たいソレを持ち上げて銃を頭の真横に当てる。 頬を伝う暖かいもので視界が滲んだ。 震える指で引金を勢いよく引いた。 「…なんで、死なせてくれないの」 空しく響く空砲の証。 これじゃあ、役に立たない玩具だ。 「…名前、俺、まだ死んでないよ。 君からその言葉が聞きたかったんだ」 「っ、バカツナ!!バカツナ、バカツナ!!バカツナ、バカツナ、バカツナ!!」 「ボンゴレってすごいよね」 「ボスをやめるつもりはないんだよね?」 「うん、守るものは徹底的に守るって決めたんだ。あ、壊すつもりだけどね」 「十代目!!」 「あ、こら、獄寺!!」 「名前、俺がこのダメツナに易々と殺されると思ってんのか」 「み、みんな゛しでっ、な゛んなの゛よ!!」 いまさら嫌いになれるわけがなかったよ ← → [戻る] |