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2.沖田(3Z)





体育が終わった後の女子だけの空間。




「…名前!!サ、サドとはどういう関係あるか!?」

顔を赤らめながら自分に聞く神楽ちゃんは、
瓶底眼鏡をかけていようが可愛らしい。

だからこそ、自分は敵わない。

総悟と神楽ちゃんをくっつけようって密かに企みが3Zで動き出したのは少し前。

…周りからの視線も痛い。

「へ…?だから、総悟とはただの幼馴染だってば」

顔だけはいいから昔から何度も女子からは聞かれた。

『沖田君と名前ってどういう関係?』

聞かれる度に、胸が苦しかった。

『幼馴染だよ。別に、総悟とは何でもないよ』

答える度に、切なくなった。


総悟を好き。
随分前に気付いたその気持ちは本物。
けれど、周りの可愛い女の子が総悟を好きになる度に押し殺した。


…今度もそう。


「そ、そうアルか!!あんなサドの幼馴染をずっとしてるなんて尊敬するヨ!!」


「そうよねー。あ、名前も作戦に協力してくれるわよね?」

「姉御!!作戦ってなにアルか?」

「内緒よ」

ニコニコ笑顔の妙ちゃんは怖い。

「当たり前じゃん」

笑う私はどうみんなに映ってる?



総悟と私の関係が進まないのは、当たり前だ。
だって行動してないんだから。

それと、
神楽ちゃんの想い人が総悟だって事は周知の事実だ。
だからこそ、作戦が遂行されようとしている。

…そして、総悟の想い人が神楽ちゃんだっていうのも一部は知ってる。

まだお互いに、知らないだろうけど。


遅かれ早かれ自分が入る余地なんてなくなるはずだ。



「女子、まだですかィ?
名前、入って変態扱いされねぇくらいに皆、着替えてるかってマヨ方が…」

「おいコラ、総悟!!…俺は一言も言ってねぇだろうがー!!」

廊下から聞こえるのは土方くんと総悟が騒ぎ始める。

「総「サド!!うるさいアル!!静かにするネ!!」

廊下の扉を勢いよく開けた神楽ちゃんが総悟と話す。
神楽ちゃんの頬が少し赤いのはご愛嬌って所だ。
傍から見ていても、可愛い。

「チャイナの方がうるさいでさァ…。あ、チャイナ、入ってもいいんですかねィ?」

仲良さげに互いに蹴りをいれたり、
殴ろうとしたりしているけれど二人のじゃれ合いだから止めれない。

周りなんて、もう生暖かい目で見ている。

何で、総悟ってここぞって時は鈍感なんだろう。

「入ってもいいアル!!」

「そうですかィ」

男子も混じりだして賑やかになった。

銀八はいつも通りゆったりやって来た。






ただの幼馴染みだよなんて言い飽きてる


「  」

たった一言、誰にも聞こえることなく声にもならずに消えていった。





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あきゅろす。
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