背中合わせ 3 あれからは、何というか彼らからの接触もない。 セブと休日や休み時間に過ごしている時に、 セブが絡まれて赤毛ちゃんが止めに入る。私は完全に傍観者になっていた。 廊下から眺めて、止めに入れない。 だって、ただでさえ女の子に庇われてるのに。そう思ったから。 ……大きく溜息を吐いた。心が晴れるわけでもなく、どんより曇ってる。 それから、また数日経った。 今日は宿題を終わらせて、図書室でゆったりと今日は向かい合わせで読書する。 「セブ、いい加減湖の方行こうよ…。息が詰まりそう」 「なら、一人で行って来い」 「ん、後から来てよね!」 本を閉じて元の場所に戻す。 気分を晴らしたくて、ちょっと小走りになりながらいつもの木陰を目指した。 「……げ」 そこには、見覚えのある長髪くんが寝転がってた。 漏れた声が大きすぎた。口を手で塞ぐ。 ゆっくりと音を立てないように近づいてしゃがみ込む。 女子にいつも騒がれている事に納得した。 綺麗な顔をしている。ブラック家は美形が多いのかもしれない。 セブの寮にもブラックがいたはずだ。その子も顔が整っていた。 でも、嫌い。相容れない。よし、離れよう。 「見惚れてたのか」 薄っすら目を開けた彼が、その唇で言葉を紡ぐ。 「女子が発情した猫みたいに騒ぐ理由を知りたくて。腕、痛いから離して頂けません?」 「うるせぇ、なんで、スニベルスなんかとつるむんだ」 ギリギリと締め上げられる。 レディの扱いがなってないな。…いや、敵だからか。 「彼が好きだから。というか、なんで、貴方に話さないとならないの?」 「闇の魔術にあいつは傾倒してるんだぞ」 「……それも、知ってる。だからなに?」 自分の顔から、表情が消えうせるのが分かる。 「イエローモンキー。調子に乗るなよ」 「その言葉、あなたの嫌ってる家の人がしてる事と同じよ。 鳥肌が立った。コロンなんて色気づいてるのね?さっさと、その腕から解放してもらえない?」 「ああ、いいぜ」 不敵に笑っていて嫌な予感がする。 彼が去っていく方を見れば、セブがいた。 苦々しげな顔をして。誤解したんだろうな。きっと。 目頭が熱くなっていく。 こんな大事な時に、力が入らず恐怖からか手が震え血の気が引いていく。 「…っぁ…ッ…セブ!セブルス!」 ローブを翻し去っていく。 その時見えた横顔は悲しそうで、こちらまで苦しくなる。 ← → [戻る] |