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嘘つきピエロ(ハリー)





「ハリー」

名前が僕を呼ぶ声は、
期待も賞賛も侮辱も期待もない。

温かみがある言葉だった。


嘘つきなきみは、
いつだって笑ってた。

フレッドとジョージがいつだったか、

「名前はへらへら笑ってて」

「ピエロみたいに滑稽だよな」

そうやって、スリザリンの名前を揶揄して笑ってた。

そのときは僕も笑ったけど、
今考えれば

涙を隠してピエロみたいにへらりと笑う。

「名前ってどんくさいよな」

「ネビルと同じ位なんじゃないか?」

「そうかなあ…ごめんね?」

馬鹿にされても笑うから、
…なんだかそれが
無性に僕を苛立たせた。


ずっと隣にいたのに。

嘘つきなピエロ。

きみはどこに消えたんだろう。
真っ暗闇に消えちゃった。




ずっとずっと、
きみは僕の隣にいたのに。




僕もそっちに向かうから、
どうかいつもの笑顔で
出迎えて?




真っ白なものが赤に染まり、
僕の周りは黒く塗り潰された。


遠い遠いところ、
小さな小さな光の中に
名前の姿がぽつりとあった。


君が命懸けで助けてくれたセドリックは生きてるよ。
心配しなくてもいいんだ。



やっとまた会えたんだから。

嬉しさ?悲しさ?怒り?空しさ?

枯れたと思った涙が頬を伝う。
それと同時に胸が苦しくなった。




嘘つきなピエロ。もう離れちゃ嫌だ。





「ハリー!」


懐かしい声が後ろから聞こえ、
…振り返った先の君は綺麗に笑っていた。

ロンもハーマイオニーもそれを受け入れて、
彼女と肩を並べて歩く。









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あきゅろす。
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