夕陰草
結びとどめ07
要は28回目の自分の誕生日を思い出していた。
あの時もいつものように洋兵に暴行を受けたあとだった。殴られ散々嬲られた後、動けなくなった要に洋兵は目隠しをしたのだ。
それからーー。

「っ……昭、斗っ……いやだぁ」

要は思い出すことすら厭で必死で大貫に呼び掛けた。すると空気の動く気配がして、要は息を詰める。
わかっている。
ここには大貫しか居ないことなど。
わかっている。
それでも……。
まさかあの事が自分の中でこんなにも疵になっていたなんて要自身が今思い知らされている。見えないことがこんなにも恐ろしいなんて、あの時までは知らなかったのだ。
要は小刻みに震える身体を小さく丸めるように蹲った。

「要? 」

要の変化に漸く気がついたのか、大貫は優しく包むように抱き締めた。

「どうした? 此処には俺しか居ないよ? 何をそんなこわがるんだ? 」

囁くように要の耳元に口づけを落とし、大貫は要の目隠しをそっと外してくれた。
ゆっくりと目蓋を持ち上げると、目隠しされている間に脱いだのか裸の大貫が心配そうな顔で要を後ろから抱き込む形で覗き込んでいた。
部屋の照明もいつの間にか暗くはない程度に絞られている。

「あ、昭斗っ」

要はポロポロと涙をこぼしながら大貫の顔を見て安堵した。

「目隠しそんなに嫌だった? 」

後ろ手に手首を縛られ背後から抱き締められているせいで、要は大貫に抱き付けないもどかしさを抱えコクコクと頷いて見せた。

「目隠しは……怖い……かも」
「泣くほど怖いんだぁ。何かあった? 」

大貫の質問に要は答えられない。涙を流しながら要は断片的に思い出す。心臓が痛くて呼吸が浅くなるのが自分でもわかった。

「言いたくないなら良いよ、じゃ手だけ、ね? 」

大貫は泣き続ける要にキスの雨を降らせて、要が落ち着くのを手伝ってくれる。優しくて甘くて淡い口づけと手の動きに要の熱が戻り始めた。
後ろから覆い被された状態で耳を愛撫され、脇腹や乳首をゆるゆると弄られてまた甘い声が口から溢れ出す。直接触れられているわけでもないのにしっかりと回復し、要のペニスは天を仰いでトロリとした蜜を流しはじめた。

追求されなかったことに要は安堵した。もし追求されていればなんと答えれば良いのか、咄嗟に思い浮かばない。
あの時の惨めな自分を知られたくないし、知って欲しくもない。
大貫の由深に対する行動も自分に向けての言葉も、たまに耳を疑いそうになるほどだけれど、それでもやっぱり嫌われたくはない。ーー結構男運悪いな……と自分でも思う。

「何、考えてんの? こっち集中してよ」

要が他に意識をやっていたことに気づいた大貫が、弄られ過ぎて赤く腫れた乳首を強く潰すと、ビクリと要の身体が反応する。そのまま後孔に舌を這わせ、尖らせたそれで内壁を唾液で湿らすように舐めあげてくる。

「あっ……あっ……っ」

羞恥と快感にに顔も体もピンクに染まり、それが大貫を煽った。



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