夕陰草
結びとどめ06
「あっ……あ、大貫も、脱いで」

緩い快感に意識がふんわりとなっている要は、大貫のシャツの裾から手を差し入れて素肌をなぞるように抱きつく。
だが、大貫は要の乳首をギりっと力任せに捻りあげた。

「いたっ!」

ふわふわとした快感の中にいた要は余りの痛さに目が醒めたように現実に戻された。

「……な、に? 」
「何でお仕置きか解ってないの? 」

大貫の一言で、要は自分が良い慣れた呼び方をしていたことに気が付く。

「……昭斗」

要が名を呼ぶと大貫は満足そうに口角を上げると、布越しでもわかるほど反応している要のペニスをその上から触れた。
形を確かめるように何度も上下に動かされ、もどかしさに要の熱が腰に集中してくる。

「やだ……っあ……ちゃんと……触って……っ」
「んー? 触ってほしいの? 」

もどかしさに堪らず口走ったおねだりの言葉に、要自身が身悶える。

「いーよー。触ってあげる」

大貫はクスクスと笑いながら何を思ったのか要の体をひっくり返すと下着を乱暴に脱がし、腰を高く持ち上げると要の後孔に舌を這わせた。

「っ……そこやだっ……んぁ……っ」
「ダイジョーブだよ」

大貫は舌を尖らせ後孔に刺激を加えながら陰嚢を手で弄りだす。要は直接的な刺激に悶え、それでも触ってほしいところを焦らされて堪らず自身に手を伸ばす。が、大貫に残酷にも払われてしまった。

「やだっ……触りたい……っ」
「要の触ってほしいとこ触ったらお仕置きにならないでしょ。縛っちゃうよー? 」

大貫は笑いながら「それも良いかも」なんて嬉々として床に落とした要のネクタイを拾い上げる。俯せになっている要を後ろから抱き起こすと、そのネクタイで要の両手首を後ろ側にネクタイで縛り上げてしまった。

「うそ……これ、取って……」

弱々しく要がお願いしても大貫は耳を貸さない。それどころか「大丈夫だから」と要の耳を舌で犯してくる。
ぞわりと肌が粟立ち、身体が震える。内股を大貫の手が這い回り、もう片方の手で胸の突起を揉みしだかれ、要は堪らず甘い声を出す。

「んん……っはぁ……あ……あっ」
「そーだ。目隠ししちゃお」

大貫は要から離れると部屋から出ていってしまった。拘束されたまま放置された要は疼く身体を自分ではどうすることも出来ずにもぞもぞと揺らす。

「お待たせー」

戻ってきたその手にはアイマスクがあり、大貫は身体を揺らめかせている要の背後から手際よく取り付けた。
視界の遮られた要は見えないことに不安が募り大貫を呼んで存在を確かめる。

「大貫? ……あ、昭斗……居るよね……? 」

呼び掛けても応えない大貫に、要はさらに不安を煽られる。確かに部屋に入ってきたのは大貫ひとりだし、他に人の気配はないけれど、見えないことが要を追い詰める。昂っていた身体も気持ちと同じように萎えていく。
バクバクと心臓が暴れる。

「目隠し、取って……」

じんわりと涙が溢れてくるがその涙はアイマスクに吸収されていく。要の言葉に反応しない大貫に思考が混乱し始めた。


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