祈ってなんかやらない (ラル:コロラル)
俺は無宗教だ。
十字教も信じてないし、自然崇拝もしない。日本人のようにクリスマスを祝ったりも自分では主催しないし、ただのパーティくらいにしか思わない。
神なんて居ない。
そんなこと、誰だって知っている(一部の信者を除いて)。
くだらない。
神の加護?
じゃあ何でアイツは死んだ?
大いなる慈悲?
じゃあアイツだけは愛さなかったのか?
信者でなければ殺して良いのか?
そんな贔屓をする神なんて、居ない方が良い。
今思えば、アイツは俺より神とか言うのを信じてたんじゃないのか?
何処かの神の誕生日を祝ったりしていたし、よく神様お願い〜なんて言ってた。
そして、そのたびに俺は神なんて居ないと言った。
はぁ、と深いため息を吐く。
しかし、そのため息は何処へ行けばいいのか分からず、まだ俺の胸の中でモヤモヤと存在している。
そのとき、ふっと思い出した。
とある日、先のような会話をしたときに、アイツが変な返しをしてきたんだ。
たしか、アイツは同僚と何かを話していた。盗み聞くつもりはなかったし、最後の方しか聞き取れなかった。
『はぁ?お前趣味悪ぃだろ』
『そーそー。あんな奴の何処が良いんだよ』
『お前等しらねーの?ああ見えてかなり可愛いんだぜコラ』
『ふーん。お前ならもっと上狙っても良いと思・・・っげ!』
俺に気が付いた同僚の一人があからさまに逃げ去る。
別に自分が好まれていないことくらい知っていたから傷付きもしない。
『どうした。早く飯にしてこい』
『あ、ああ』
『まったく、話なんて飯を食いながらでも出来るだろう』
『いや、飯食いながら会話は出来ねーよ。』
『根性で何とかしろ』
『なんて無茶な・・・』
やや困ったような顔をすると、アイツはさらに続ける
『それに、こっちじゃないとラルが見えねーんだもん』
『下らないことを言うな。さっさと行け』
それでも動こうとせず、身長差の都合で俺を軽く見下すアイツ。
早く飯を食べないと次の訓練に支障が出るため、強引にでも動かそうと手を握った。
すると、アイツは驚いたような表情になる。
『どうした。さっさと行くぞ』
『あー、俺今神様にお願いしたい』
『何をだ?』
『神様神様、ラルを可愛く作ってくれたことには感謝するけど、ちょっと鈍感すぎね?』
『誰が鈍感だ!そんなにのろのろした行動は取ってないぞ!』
あ、やっぱ鈍感だわ、と零す。
『それに、神なんて曖昧な物を信じるな』
『何でだ?』
『‘祈ったから救われた’と言えば聞こえは良いが、所詮は‘偶然’にすぎん。』
『ま、確かに祈っていなくてもラルには出会えたけど・・・・』
また下らないことを、と口を開こうとしたが、
『でも、出会えて会話できたりこんな気持ちになると神様もいるかも、って思うぜ』
『・・・下らないな。さっさと飯を食うぞ』
『ちぇーっ。了解』
あの時は、少しくらいなら信じてやってもいいと思った。
でも、当の神サマといえば俺より存在を信じていたアイツの命を奪った。
だから俺は、祈らない。
祈ってなんかやらない。
***あとがき***********************
シリアスな感じにしてみました。てか
なりました。なってるかなぁ。
漫画とかに出てくる人は殆どそうだけ
ど、特にラルは無宗教っぽい。
あとバイパーは絶対十字教徒じゃない
よね。自害したって事は。
なーんか重い感じですが、読破感謝で
す!
090506 白城可良
**********************************
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!