寝ながら覚めた夢 (コロラル)
「おーい、起きろよラル」
「五月蠅いな‥‥‥」
「早く起きないと襲っちゃうぞーコラー」
「‥‥マジックで落書きなどするな‥‥‥」
「‥‥‥可愛くない襲い方だなコラ」
はぁ、下らない夢を見て居るなぁ俺は。
始めは受け入れれなかったアイツの死。受け入れれなかったせいか、ショックの所為か、始めはアイツが俺に話し掛けてくる夢をよく見た。
だが、いつも俺が答えた直後に倒れたり、消えたりした。夢の中だから、体温を感じることもないし、予想外の事態が起こることもない。ただ決まった悪夢をくり返すだけ。
あの手が、また俺の頬に触れることもない。
そして、話し掛けない方が楽だと気付いたのは、割と最近だった。
「あ、じゃあチューするぞコラ!」
「勝手にしろ。」
喉にかぶりついて俺を殺すのか?
それならそれで好きにすればいい。
夢だから温度も痛みも何も感じない。
恐れることなどないし、夢の中で幸せになろうとしても直ぐ悪夢に変わるくらいなら、一瞬の夢さえ見たくない。
そんなことを考えた直後だった。
なにやら柔らかくてほんのりと温かい物が頬に触れる。
「?」
重たい瞼を明けると、そこには、
赤ん坊の姿のコロネロが居た。
「なっ?!」
「おっ、やっと起きたか。やっぱりプリンセスの目覚めはキスが一番だぜコラ!」
「なななななな?!い、一体何がどうなって‥‥‥!?」
「なんだかよくわかんねーけど、十年バズーカで飛ばされたっぽいぞコラ」
当の本人が状況を対して理解していない。
そのせいか、ラルも異常な態度を取る。
「だっ、だってお前、死んで‥‥」
「未来の俺は死んでるのか?」
「ああっ!こんな物夢なんだ!」
「勝手に他人を殺しといてその言い草はあんまりだぜラル」
「ああもう、名前を呼ぶな!余計にワケが分からなくなる!」
頭をブンブンと振って、平常に考えようとする。
声色も同じだし、調子を狂わせる勢いもタイミングも一緒。昔から何も変わらなかったアイツ。
「ラルラルラルラルラルラルラルラルラルラルラルラルラルラルラルラルラルラルラルラル!」
「俺の名前は呪文じゃないんだぞ!」
「状況はよくわからねーけどよ」
いったん間をおいて、
「また会えたんだから、それで良いじゃねーかコラ」
「‥‥‥」
今回は、良い夢が見れそうだと思った。
「ラル」
「なんだ」
「名前を呼びたかっただけだコラ」
「そうか」
やっぱりこれは夢だ。
俺が名前を呼ばれたいなんて思ったからこのコロネロは俺の名前を呼んだんだ。
「コロネロ」
「なんだ?」
「名前を呼びたかっただけだ」
「そうか。照れるぜコラ」
→2
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