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色彩繚乱
14
夕食後、ソウが思い出したように珀皇のことを聞いてきた。

「生徒会室で役員に紹介されてお茶しただけ。」

内容は酷かったけど。

「そっか。何もなくて良かった。で、勉強、はかどってる?」

「ん?勉強…あぁーっ!!」

色々ありすぎて、すっかり忘れてた。

「ヤバい、ヤバい!!どうしょう!!」

狼狽える俺にソウは呆れ顔をした。

「コウに教えて貰ってないの?」

問われて返答に迷った。
冷たく突き放したからコウに頼みづらいし事情は話せないし。

「亜樹?」

「あ、えっと…コウ、忙しくて…時間が取れなかったんだ。」

苦し紛れに言ったけど疑われかも。と思っていたら「彩王に頼めば?明日は土曜日だし。僕が連れて行ってあげるよ。」とにっこり笑った。疑われなくてほっとしたけどサイしかいないよな。溜め息混じりに頷くと人目もはばからずマンションに瞬間移動した。

「あのさ…むやみやたらにテレポートするなよ。誰かに見られたらどうするんだ?」

ったく…危機感がないとゆうか。

「あはっ、ごめん。」

ぺろっと舌を出して笑う。ほんとソウって呑気で羨ましいよ。

「じゃ、僕、帰るよ。頑張ってね。」

「待って。教科書がないんだけど…」

「本棚にあるじゃない。。亜樹が何時でも勉強出来るようにってコウが揃えてたんだよ。気付かなかった?」

「あ、あぁ、そうだったな。」

笑って誤魔化した。本棚にあったのか。知らなかった。マンションに居る間、ゲームと漫画オンリーだったし。

「それじゃ、また来るよ。」

「サンキュー。」

ソウが消えた後、玄関で靴を脱いでリビングに行き電気を点けた。

「また此処に来る羽目になるとは…」

綺麗に片付けられた部屋やキッチンは生活感がなく寝に帰っているだけみたいだった。

「炬燵があるのは良いよな。」

冷えた足を炬燵に突っ込みテレビを点けたらお笑い番組がやっていて、つい見てしまった。

「あはは〜っ!!マジ、ウケる〜!!」

ゲラゲラ笑っていると不意にテレビが消えた。

「あれ?」

「随分と余裕だな。」

そ、その声は…

急いで本棚から教科書を取ってサイに手を合わせた。怒鳴られる前に。

「勉強、教えてください!」

「殊勝な心掛けだがお前だけだ。オール赤点は。溝口が半笑いでぬかしやがった。俺に恥をかかせやがって馬鹿が。」

溝口の面が頭を過ぎりムカついたけど返す言葉もなくうなだれた。

「どれ、見せてみろ。」

てっきり罵詈雑言を浴びせられると思っていたのに意外だった。サイが炬燵に入ると俺は向かい合わせに座った。

「国語総合、数学U、物理、コミュニケーション英語、世界史Aか。苦手科目は?」

「…英語と数学…物理…」

「全部だろうが。」

解ってるなら聞くなよ。

「範囲は溝口に聞いた。先ずは数学からだ。」

「お願いします。」

サイの教え方は手厳しく間違えると容赦なく頭を叩かれた。でも解りやすかった。

「理解力の欠如は仕方ないとして暗記は根気だ。しっかり読み込みしろ。明日、テストする。間違えればどうなるか解っているな?」

サイが考えることなんて言われなくても解ってる。

「大丈夫。徹夜で勉強するもんね。」

「ほぅ。やる気満々じゃないか。精々、精進しろ。」

ふん。見てろ。俺が本気を出せばやれないことはないんだ。それから寝ずに数式を解きまくって必死で暗記した。なのに…何で…何で…全問正解じゃないんだよ!!

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あきゅろす。
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