色彩繚乱
13
「はぁ…キツい言い方しちゃった。」
言った後で後悔した。コウの立場も気持ちも解る。でも俺の気持ちも察して欲しい。たとえ自分じゃなくても珀皇に抱かれる絵図を想像したら…
「うぇ…気持ちわるっ。吐きそう。」
コンコン…
誰だろう?ソウならノックしないのに。
ドアを開けるとマックスが居た。
「何か用?」
「何って…機嫌悪そうだな。夕飯、誘いに来たんだけど。」
「あ、ああ。もぅ、そんな時間か。」
コウが居ないとソウの行動は解らない。ご飯、食べてくるのかな?
「今日の日替わりって何?」
「今夜はね、エビフライ〜♪エビが飛ぶからエビフライ〜♪」
「んなわけあるかっ!」
思わずツッコんでしまい赤面した。
「おっ!ナイスツッコミ〜」
親指を立ててウィンクされても嬉しくない。三流お笑い芸人並みに寒いと思う。
「オバチャン達が作る定食、なかなかイケるだろ。あれがお袋の味なんだろうな。」
「マックスのお母さんは料理、作らないの?」
「ん、まぁ、それより…」
母親に触れられたくないのか話を逸らした。
「亜樹ちゃん、今は1人なんだな。」
「えっ?」
「部屋に来てくれないから、今まで黙ってたけど俺は亜樹ちゃん達と対立するつもりはない。でも場合によっては敵になるかもしれない。だから謝っとく。ごめん。」
真面目な顔をして意味不明なことを言う。
「近々、接触してくるかもしれない。奴に惑わされるな。気を付けろ。俺は…」
「亜樹ーっ!!」
突然、俺とマックスの間にソウが割り込んできた。
「おい、お前、亜樹を連れ出してどうするつもりだよ!?」
「やれやれ…まだ話は終わってねぇのに。」
髪をかきあげ舌打ちした。
「舌打ちするな!不愉快だ!話なら僕が聞く!」
喚くソウにマックスは踵を返すと手を振って廊下を歩いて行った。
「あーっ!!逃げるな!!」
追い掛けようとするソウの腕を掴んで注意した。
「ソウ、大声出すな。マックスと食堂に行く途中だったんだ。」
「…そうなんだ。ごめん。勘違いして…コウが心配してたから…」
俯くソウの頭を撫でた。コウの話もマックスの話もソウに言わないでおこう。コウと約束したしマックスのは意味解んないし。
「ソウ、夕飯、食べた?」
「類とゲーセンでクレープ食べただけだから食べれるよ。」
「なら一緒に夕飯食べよう。今日はエビフライ定食だって。」
「わーい!僕、エビフライ好き〜!」
些細なことでも無邪気に笑い喜ぶソウが羨ましい。知らないって幸せだよな。悩むことも気に病むこともないんだから。
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