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色彩繚乱
12
『コウ、始めて良いよ。』

緊張を抑えつつ、コウの話に集中していたら、いきなり突拍子もないことを告げた。

『い、今、なんて…』

『驚かれるのも解りますが珀皇白夜は白龍石です。彼は亜樹と同じく白龍石と人が同化した形態。但し、彼の中には闇が潜んでいます。亜樹はそれを嫌悪したのでしょう。黒曜石は闇を忌むので…』

『ち、ちよっ、待ってくれ。頭が混乱して…』

アイツが白龍石?そんな馬鹿な…だって年が近すぎる。

『それは可笑しくないか?サイと俺は年が離れてるのに珀皇は俺と2つしか離れてないじゃないか。』

『落下時、彩王から離れた龍石は意思を持ちません。ソウも彩王が発見しなければ動物として生きていたでしょう。亜樹と珀皇に至っては母体に黒曜石と白龍石が馴染まず流産。次に懐妊するまで子宮に定着。彩王と年が離れているのはそれまで受精しなかっただけ。珀皇と近いのは偶然でしょう。』

コウの推測を疑うわけじゃないけど、どうしても珀皇を白龍石と認められない。いや、認めたくないんだ。

『俺は…あ、闇がどうとかって、あれはどういう意味?』

『白龍石は龍国の闇…憎悪や嫉妬など負の感情を浄化していました。彩王も存じています。しかし悲劇が起こり白龍石は闇に侵されてしまいました。その時の記憶は転生に失敗した衝撃で彩王もソウも忘れています。私が覚えているのは彩王の掌中にいたからです。故に私のみが闇を含んだ白龍石を認識出来たのです。』

『じゃ、コウが直ぐに感知出来なかったのは俺と同じ理由で不確かだったのは白龍石が闇に侵食されていたからで俺が拒絶したのは闇が原因だってこと?』

『はい。理解が早くて助かります。』

否定して欲しかったのに肯定されてしまった。

『珀皇は自分を白龍石だとは思っていません。そこで亜樹、珀皇と交わって頂けませんか? 』

『ま、交わるって…』

『性行為です。さすれば亜樹も珀皇も覚醒すると思われます。あくまで仮定ですが。』

触られただけでゾッとするのに性交なんて出来るわけがない。

『む、無理、無理!!絶対、無理!!」

『ならば私が亜樹に変化して彼と繋がります。』

『はぁ!?』

『何もしないよりはマシでしょう?』

『コウ、マジで言ってんの!?』

『ええ、他に方法が思い付かないですし私の役目は彩王を龍国に戻すこと。その為なら何でもします。』

俺の代わりに身を捧げる覚悟をしているんだ。使命を全うする為に。そして予め伝えたのは俺が相談してくれって言ったからだ。でも…

『…サイが承諾するとは思えない。』

俺は…

『彩王に気取られぬよう内密に行います。』

『可能なのか?』

『眠っている時は意識もありませんから。』

『コウが何をしようと文句は言わない。けど俺の姿でするのは止めてくれ。』

利用されるのはもぅ、嫌だ。

『ですが珀皇はアナタに想いを寄せているんです。アナタでなければ心を開かないでしょう。』

『そんなの俺の知ったことじゃない。コウにとって俺は黒曜石でしかなくても俺は宇佐木亜樹なんだ。餌でも糧でもない。俺は俺だ。珀皇を覚醒させたいなら俺抜きでやってくれ。』

ずっと言いたくても言えなかった。俺は非力で無力だから。

『あ、亜樹、私は…』

『悪いけどこれ以上、話すことない。』

腕時計を外して机に置いた。

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あきゅろす。
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