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色彩繚乱
11
「どう?お口に合うかい?」

俺の横に腰掛け足を組み微笑む珀皇をなるべく見ないよう俯き気味に小声で答えた。

「…オレンジの香りが良くてクッキーもチョコも上品な味で市販のより美味しい。」

「良かった。紅茶はファイネスト・ティピー・ゴールデン・フラワリー・オレンジ・ペコ。お菓子類は僕の行きつけのお店なんだ。」

耳の近くで珀皇の声が聞こえ思わず顔を上げたら、珀皇と目が合ってしまった。

「あっ…」

射抜くような灰色の双眼に捕らわれ息を飲んだ。

「君の瞳、キラキラ輝いて綺麗。」

俺の手を握って目を細めた。

「っ!?」

「温かくて柔らかい手。」

指を一本一本さすり上げる触り方に肌が粟立つ。

「や、止めろ…」

「僕が嫌い?」

悲しげに俺を見詰める。嫌いというより生理的に受け付けないんだ。でもその片隅に惹かれる部分がある。例えるなら怖いけど見てみたいような?

「答えられない?」

口を噤む俺に珀皇は表情を曇らせた。自分の気持ちがはっきりしないけど受け入れるつもりはない。でもダチの前で振ると珀皇に恥をかかせてしまう。俺は平常心をかき集めてぎこちなく笑った。

「き、嫌いじゃない。とりあえず、手、離してくれないか?」

「ごめんね。無理。」

珀皇は俺の手を掴んだまま胸に引き寄せた。

「だって君はお菓子より甘い匂いがしてドキドキする。」

首筋に顔を埋め匂いを嗅ぐ。もぅ、ダメだ。我慢の限界。

「いい加減にしろ!!しつけーんだよ!!」

力一杯、つき飛ばし急いで会長室から出て一目散に廊下を走った。

『亜樹!!壁にぶつかります!!』

コウの叫び声に立ち止まると壁面に鼻が掠り吃驚した。

「ヤ、ヤバかった…」

『ヒヤヒヤさせないでください。顔面に傷を作れば私が彩王に叱られます。』

『ご、ごめん。ありがとう。コウ。』

『かなり動揺されてましたね。』

『当たり前だ。手を握られて抱き締められたんだ。』

『それだけですか?何か感じませんでしたか?』

俺の感情を察知したのか?それとも…

『コウは何か感じたのか?』

『質問を質問で返されるのは頂けませんが…私は彼に触れて感じ取りました。今から話すことは亜樹の胸に畳んでください。』

『秘密にしろってこと?』

『はい。彩王は職員会議、ソウは類とゲームセンター。双方共、此方に意識は向いてないので話を聞かれることはありません。』

2人に聞かれたらマズい話って何だろう?

『解った。約束する。寮で聞くよ。』

コウとゆっくり話をする為、走って帰り自室に入るとベッドに腰掛け深呼吸した。なんか緊張するな。

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あきゅろす。
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