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色彩繚乱
10
「由仁、挨拶して?」

珀皇が困り顔で夜桜の肩に手を置くと夜桜は俺を一瞥した。

「夜桜由仁。」

名前だけ口にしたあと気怠げに頬杖をついた。これで副会長とは。選んだ生徒達の気が知れない。それとも単に俺が気に食わないだけか?

「無愛想でごめんね。悪気はないんだ。」

苦笑いする珀皇に俺も苦笑で返した。別にどうでも良いし。

「じゃ、俺はこれで…」

長居する気はさらさらなかったので退出しようとドアノブに手を掛けたら珀皇が扉を押さえた。

「まだ帰らないで?君の為にお菓子やケーキを用意したんだ。」

縋るような目つきは俺の心をざわつかせ咄嗟に目線を外すとコウが思念を送ってきた。

『亜樹、もう暫く居てもらえませんか?来て間がないので様子を窺いたいのです。』

来て早々じゃ見極められないよな。

『はぁ…仕様がない。』

ドアから離れソファーに腰を下ろすと珀皇はいそいそと戸棚からティーセットを出した。

「白夜さん、俺も手伝います。」

鳳が手伝い始めると雛形は俺の正面に座った。

「珀皇さんから好意を持たれる気分ってどうッスか?」

最初の質問がこれかよ。俺なんて…と謙遜すれば良いのか?優越感に浸ってますと言えば納得するのか?コイツは珀皇のダチ。下手なことは言えない。無難な答えを探していたら雛形が顔を近づけてきた。

「っ!?」

「宇佐木って間近で見たら整った面してるッスね。これなら臣下達も文句言わないッスよ。」

臣下?ファンクラブみたいなものか?

「ま、俺は珀皇さんが選んだ奴にいっちゃもんつけないッスけど翔は意地が悪いから気を付けた方が良いッス。機械マニアの発明オタクで底意地悪いッスから。」

マジな顔して鳳の悪口を言うと鳳が雛形の頭を叩いた。

「いてっ!」

「脳筋バカ。あらぬこと吹き込むな。」

「俺は脳筋バカじゃねぇし嘘は言ってないッス。翔の開発したポンコツスケボーで階段から転げ落ちたことグルチャでバラして俺を貶したくせに。」

頬を膨らませ鳳を睨むと鳳も睨み付けた。

「ポンコツだと?運動神経だけが取り柄のお前なら乗りこなせると思ったんだがな。」

「けっ、あんなのオリンピック選手でも使いこなせないッス。設計からやり直した方が良いんじゃねッスか?」

「何だと!俺のせいにするな!」

「事実ッス。」

テーブルを挟んで睨み合う2人に珀皇は「まぁ、まぁ、いがみ合うのはそのくらいにしてお茶しよう。ね?」と微笑した。

「ウッス。」

「すいません。」

鶴の一声で言い合いを止める2人に目を見張った。珀皇は鳳と雛形を完全に掌握してる。恐らく夜桜も。俺が珀皇にすげなくすれば3人は黙っていないだろう。面倒だな。

「宇佐木くん、遠慮しないで沢山、食べてね。」

「…はぃ。」

テーブルに並べられたお菓子と紅茶を口に運んだ。

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あきゅろす。
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