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色彩繚乱

それから、ひたすら羞恥心に耐え放課後と同時にダッシュ。寮に帰って来て机に鞄を投げつけた。

「あぁ〜っ!もぅ、学校なんかやめてやる!」

「亜樹、気持ちは解るけど、鞄に八つ当たりは良くないよ?」

追いかけて来たソウが憐れむような眼差しで俺を見る。頼むからそんな目で見ないでくれ。それでなくても落ち込んでるのに。

「テストはまたあるから次、頑張ろう?」

「頑張るって言いたいけどコウは今、珀皇の件でサイんとこだし、ソウが俺に教えてくれるのか?」

ジト目で見るとソウは視線を外し頭を掻いた。

「僕、学力や知識はあるけど教えるのは苦手なんだ。」

「ほら、無理じゃん。」

「…ごめんなさい。」

しょんぼりして俯くソウに俺は自己嫌悪した。ソウは全然、悪くない。勉強出来ない俺が…って自分を卑下することなんかないんだ。既に高校卒業してるし大学だって三流だけど合格した。まんざら馬鹿じゃない。けど此処じゃ馬鹿なんだよな。

「…当たったりして悪かった。」

髪を撫でると俺に抱き付いた。

「ううん。でも辞めるなんて言わないで?僕、亜樹と一緒に居たいんだ。」

本気でやめようなんて思ってないし勉強出来ないからやめるとか情けないし。それに…

「辞めたらサイに監禁されるから辞めないよ。」

「本当?」

頷くとソウは嬉しそうに微笑んだ。

「良かった。あ、そろそろ夕食の時間だよ。行く?」

サイと交わるようになって空腹感はないけど寮で食べるの初めてだし行ってみるか。

「そうだな。」

制服を脱いで部屋着に着替えるとソウも俺の真似をして着替えた。

「亜樹のオムライスにはかなわないけど寮のご飯も美味しいよ。」

何気にヨイショする。ソウのこういうところが類と上手くいく秘訣だろう。さぼり癖のある類が欠席せず授業を受けるんだから、ソウさまさまだよ。

「じゃ、行こっか。」

「うん。」

部屋を出て食堂に移動する途中でマックスと久しぶりに会った。

「亜樹ちゃん!」

いきなり抱き付こうとするマックスにソウが透かさずガードした。

「亜樹に触るな。」

睨むソウにマックスは肩を竦めた。

「相変わらずソウくんは亜樹ちゃんのナイトだな。そうそう、ナイトと言えば白騎士に気に入られたんだってな。噂になってるぜ。」

「白騎士?誰、それ?」

「亜樹ちゃんは知らないのか。珀皇白夜生徒会長さま。因みに夜桜由仁は副会長で黒騎士。」

珀皇って会長だったんだ。白騎士に黒騎士。此処は女子校かよ。

「何で気に入られたか解んないけどアイツ、苦手。」

「へぇ…てっきり惹かれあうと思ってた。これは意外な展開。」

顎をさすりながら思案顔。どういう意味だ?

「亜樹、行こうよ?」

腕を引っ張るソウは俺とマックスを引き離したいんだろう。理由を聞きたいんだけどなぁ。するとマックスは俺の心を読んだのか「気になるなら、俺の部屋に1人で来いよ。教えてやる。」と耳打ちした。

「えっ!?」

「亜樹、ほら、早く!」

「あ、ああ。」

「本物の亜樹ちゃん、待ってるよ。」

「っ!?」

な、何で…

目を見開くとマックスはクスッと笑い手を振って廊下を歩いて行った。

「本物って亜樹は亜樹なのに変な奴。」

ソウは気付いていない。この言葉の重大さを。珀皇、マックス、溝口。共通する点は得体の知れない奴らだということだ。下手に関わらない方が良い。スゴく気になるけど巻き込まれるのは御免だ。



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あきゅろす。
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