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色彩繚乱

「わっ!?」

「っと…ごめんね。」

至近距離で目が会った瞬間、全身の血が逆流するような感覚に襲われ戦慄した。

な、何だ!?これ!?

俺を捉える灰色の瞳は仄暗く奥底に何かが潜んでいるみたいで鳥肌が立った。

「君…名前は?」

眉目秀麗な顔立ちでも俺には薄気味悪く感じ名前を口にするので精一杯だった。

「僕は二年の珀皇白夜。時間がある時で良いから生徒会室に遊びおいで。」

「えっ!?」

生徒会室ってまさか…

「白夜さん、お待たせしました。」

背の高い神経質そうな顔をした生徒が俺を見下ろし眉根を寄せた。

「お前、白夜さんのファンか?」

「翔チャン、違うよ。この子は…」

珀皇は俺に目線を合わせ「僕のお気に入りだよ。」と微笑した。

「お気に入り?ですか?」

疑問形になるのも当然だ。初対面でいきなりお気に入りだなんて俺も意味不だよ。

「そう。だから翔チャンもそのつもりで接してね。」

「はぁ。解りました。」

「じゃ、またね。」

唖然とする俺に珀皇は笑みを絶やさず生徒は怪訝な表情で生徒会室に入って行った。

『珀皇白夜…彼は一体、何なのでしょう。』

コウも呆れてる。そりゃあそうだよな。

『ほんとアイツ、変。お気にとか、ふざけたこと言って生徒会役員があんなんで良いのか?』

『いえ、言動ではなくて、存在自体が溝口や亜樹とは異なるんです。彩王に思念を送ってるんですが生徒の治療中でこちらに意識が向いていないので見解を伺えませんが。』

『え゛ぇ!?人じゃないってこと?魔物とか妖怪とか?』

『それならば対処は簡単なのですが、彼はあやふやで曖昧で不確かで判別出来ないんです。』

感知能力に優れてるコウが判断しかねてる。

『俺は嫌悪感、感じたけど。』

『嫌悪感…ですか。』

それっきりコウは沈黙してしまった。これじゃ勉強は教えてもらえそうにない。仕方なく教室に戻り席に着いた。

「はぁ…。」

追試に珀皇。考えると気が滅入ってくる。

「宇佐木、午後も受けるっつーことは持病、良くなったのか?」

隣席の大塚くんが話し掛けてきた。

「うん。治った。今日から全教科、受けるよ。じゃないと俺、勉強についてけないし追試もあるし。」

苦笑いしたら大塚くんは俺の肩に手を置き「お前もか。」と苦笑した。仲間がいたんだ。ちよっと嬉しいかも。

「大塚くんも五科目赤点だったんだ。」

「まさか。俺は数学と英語だけだ。毎回だから答案用紙、見なくても解るけど全部、赤点取る馬鹿、この学園にいねぇって。」

ギクッ!!

「宇佐木?」

「あ、あはは〜、だよなぁ。其処まで頭、悪い奴いないよな。」

多分、俺は大丈夫だ。

「うちの学園、倍率、偏差値共に高くて有名じゃん。まぐれ合格しても後々、クラスの笑い者になるから馬鹿は受験しない。これ常識。だろ?」

そ、そうだったのか!?
俺、笑い者に…いや、いや、そんなはずはない。と思いたかった。でも返された答案用紙は全て赤点で俺はクラスの皆から笑われてしまった。こんな恥を掻くぐらいなら、マンションに居るときに勉強すれば良かったと後悔した。

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あきゅろす。
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