色彩繚乱
6
『亜樹、今すぐ彩王の元に戻ってください!!』
俺の行動に慌てて飛んで来たんだろうけど大声はキーンってなるから止めて欲しい。
『コ、コウ、落ち着いて…』
『これが落ち着いていられますか!!彩王の隣は亜樹の指定席です!それを譲るなんて何を考えてるんですか!?それとも私に対する当て付けですか!?』
あまりの五月蝿さに腕時計を外しそうになったけど更に怒られそうで思いとどまった。
『ち、ちよっ、とりあえず喚くのは止めて?頭が痛いから。』
『…すいません。つい熱くなってしまいました。』
やれやれ…響のことになるとムキになるんだから。これくらいどうってことないのに。
『2人にさせたのは彼がマンション前で待ってたからで…それにサイもゆっくり話したいかなぁ〜って。退院したばかり?だし。』
『まぁ、恭弥の具合を尋ねてましたから…』
やっぱ気になってたんだ。
『良かったじゃん。』
『全然、良くないです!今度、こんなことをしたらお仕置きしますからね!』
なんだか母さんに注意されてるみたいで懐かしい。素直に謝ろう。
『解ったよ。心配させてごめん。気をつける。』
『解ってもらえれば良いんです。昼休み、図書室で勉強しましょう。』
コウの機嫌がなおり一安心。根に持つタイプは取り扱いが難しい。なんて言えないけど。
それから教室に向い席に着くとソウと類が駆け寄って来て他愛ない話をした。
昼休み。
2人と別行動を取った。図書室で勉強するからと伝えて。
「えっと…図書室は…」
『図書室は第3棟、西校舎の3階です。』
『流石、コウ、詳しいね。』
『結界を解く際、調べましたから学園のことは熟知してます。』
『結界って何処にあったの?』
『木の根元、化学室、花壇、事務室、プールと5ヶ所にありました。これは陰陽5行の木、火、土、金、水に十二支を組み合わせ位置と方角を特定し…』
「おや、宇佐木くん、どちらへ?」
不意に声を掛けられ振り向くと溝口が笑みを浮かべていた。
「図書室で勉強しようと思いまして…」
「良い心掛けですね。」
コウがピリピリしてる。早く退散しよう。
「では、俺はこれで…」
「お待ちなさい。追試は一週間後、視聴覚室で行います。」
あぁ…予想どおり赤点だったんだ。
「…はい。」
「そうそう、図書室に行く前に生徒会室に行ってごらんなさい。思わぬ収穫を得られますよ。」
意味深な言葉に瞠目すると溝口は意味ありげに笑い踵を返した。
『コウ、どう思う?』
『生徒会室は図書室の隣です。調査の為、一度、入りましたが役員は不在でした。奴の言葉は気になりますが、亜樹にお任せします。』
あんなこと言われたら確認したくなるけど相手は溝口だし。
『やめとこう。』
生徒会室を素通りして図書室のドアを開けたら、誰かとぶっかった。
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