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色彩繚乱

「何処まで堪えられるか見ものだな。」

余裕綽々なサイに余裕のない俺。どちらが優位かなんて考えなくても解る。我慢したって辛いのは自分だけ。それなら…

「な、舐めて…イかせて…お願い…サイ…」

自尊心より快楽を選んだ時点で俺の敗北は決まってるんだ。

「もっと粘ると思ったが存外、早かったな。」

鼻で笑われムカついた。

「アンタが俺の身体を変えたんだ。全部、アンタのせいだ。責任とれ。」

睨み付けると髪で隠れてない左目を細め「最後まで責任はとってやる」と不敵に笑った。それからは絶妙な舌使いと愛撫でイカされ腹の中が溢れるほど中出しされ此処が保健室だって解ってても声が掠れるまで喘いで自分が嫌になるくらい夢中で腰、振ってよがって身体も脳もドロドロに溶かされ気が付くとマンションのベッドの上だった。

「あぅ…最悪…」

自己嫌悪にうなだれ膝を抱えた。学園の保健室で我を忘れて行為に耽るなんてサイに出会う前の俺なら考えられなかった。

「誰も入って来なかったから良かったものの見付かってたら憤死レベルだっつーの。」

隣で寝息を立てるサイの面を今すぐ張り倒してやりたい。

「こんな身勝手で自己中の何処が良いんだか。」

そういえば子供の頃、サイに武道を習ってたってコウが言ってたっけ。ということは初恋?もし初恋だったら諦められないよな。だって相手は女じゃなくて俺だし。

「どうしたもんかなぁ…。」

サイは俺を選んだって言うけどそれは俺が黒曜石だからだ。別に俺を好きってわけじゃない。この事実を教えるべきか…

「うっ…ぅっ…」

「ん?」

呻き声にサイを見ると顔を顰め額に汗を滲ませていた。

また悪夢を見ているのか?

「サイ、おい、サイ。」

何度かこんなサイを目の当たりにした。その都度、こうして身体を揺すって起こした。でも今回は目を開けてくれない。

『コウ、サイが起きないんだけど。』

しーん…

「あれ?コウ?」

腕時計を振ってみたが返事はなかった。

「あっ、そうか!俺の変わりに寮に居るのか。」

「くっ…はぁ、うぅ…」

苦しそうだな。どんな夢を見ているんだろう?毎回、聞いても忘れたとか覚えてないとか言うけど。

「サイ…」

俺も一度だけ見たことがある。不吉な夢。もしかして同じ夢?だったら起こさなきゃ。

「サイ、起きろよ!」

軽く頬を叩いてみたけれど効果なし。

「ったく…」

額の汗をシャツで拭き額を合わせた。

「早くこっちに戻って来いよ。」

念じながら目を閉じた。瞬間、意識が何かに引っ張られた。

「ひっ!?」

な、なんだ!?これ!?

持って行かれないよう必死で耐えたが引き寄せる力は強くて引きずり込まれてしまった。

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あきゅろす。
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