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色彩繚乱

「俺も類に教えてもらおうかなぁ。」

「亜樹は彩龍に教えてもらえよ。恋人だろ。」

「は?誰と誰が?」

「病室でイチャイチャしてたくせにとぼけんな。そういうのムカつく。」

身に覚えがないのに軽蔑の眼差しを向けられカチンときた。

「とぼけてなんかない。変なこと言うな。大体、俺はマンションに軟禁…」

「あーっ!!彼処に未確認飛行物体が!」

ソウが窓を指差すと類は視線を其方に向けた。俺も見ようと思ったら突然、ソウが俺の腕を掴んで廊下に引っ張って行く。

「な、何だよ?未確認飛行物体が…」

「あれは嘘。それより恭弥のこと知らないの?」

「へ?」

初めて聞く名前に首を傾げるとコウの声が聞こえた。

『すいません。申し遅れました。順を追って説明します。響恭弥…彼は彩王の教え子です。幼少期に武道を教えていました。帰国後、類が恭弥に怪我を負わせたので亜樹の姿で彩王と見舞いに行きました。その際、恋人だと宣言しました。勿論、我らの正体は伏せて。恭弥は彩王に恋愛感情を抱いています。しかし決して叶わぬ恋なのです。彼には可哀想なことをしましたが傷は浅い内にと思い亜樹の許しを得る前に行動しました。申し訳ございません。』

事情は解った。コウの気持ちも解る。けど時と場所を選んで欲しかった。

『はぁ…俺、ホモじゃないんだけど。』

『彩王も同性愛者ではありませんよ!亜樹が偶々、男性だったからです!』

頭の中で声を張り上げられキーンとなった。

『わ、解った。大声出すなって。でもそう思われても仕方ないこと言ったんだよ。解ってんの?』

『あっ…』

『今頃、気付いたのか。』

『私としたことが…またもや失態を…』

コウって用意周到で抜け目なさそうで抜けてるとこあるよな。

『今更、類に口止めしても遅いだろうし…』

『ならば全体に暗示を…』

『んなことしたら溝口もなんかやらかすかもしんない。結界は大目に見ても暗示はヤバそう。下手に動かない方が良いと思う。』

『ごもっとも…仰るとおりです。冷静さに欠けていました。面目次第もございません。』

『終わったことをあれこれ言わないけどさ、これからは俺にも相談してくれ。』

『許して頂けるのですか?』

『そのかわり勉強、教えてよ。類に頼めないから。』

『承知しました。では先に保健室に参りましょう。彩王が呼んでますので。』

『もしかしてコウに怒ってる?』

『さぁ、どうでしょう。』

「話は終わったみたいだね。」

コウと俺の会話を聞いていたソウは苦笑いした。

「悪いけど類の子守と家まで送っていくの任せても良い?」

「毎日してるし慣れてるから任せて。亜樹、頑張ってね。」

「え、ああ。勉強、頑張るよ。じゃあな。」

ソウに手を振り保健室に向かって放課後の廊下を歩いていると男子生徒とすれ違った。瞬間、目が合った。

うわぁ…めちゃ綺麗な子。

あまりの端麗さに見とれていたらその子は俺を睨んだ。

ヤバっ!!ガン見しすぎた!

因縁を付けられる前に通り過ぎようとした。

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