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色彩繚乱
1亜樹視点


(亜樹視点)



12月に入って一週間経ったある朝、サイが唐突に言った。結界が解けたと。俺は思わず涙ぐんでしまった。

「やっと…やっと自由になれる。長かったなぁ…。」

約三週間ぶりの制服に感無量。

「亜樹、結界は解けたからといって油断するな。溝口の手下は人とは限らん。」

学園に向かう途中、サイは眉間に皺を寄せ念を押した。これで5回目。うんざりする。

「わーってるって。ほら、ネックレスも腕時計も付けてるだろう?」

腕時計はコウがいる。ネックレスはソウの寝床。ソウが終日、変化を保つ為に気絶するまで犯されて半日は寝て過ごす毎日。 それでも掃除と夕食はかかさずこなした。我ながら良く耐えたと思う。まぁ、俺様なサイがほんのちょっぴり俺に優しくしてくれたせいもあるけど。

『亜樹の気持ちを汲み学園復帰を許可した彩王は変わりました。以前なら相手の立場なんて考えもしなかったのですから。』

コウと脳内で会話するようになってから屡々、話し掛けてくる。

『心境の変化でもあったのかな?』

『本来、彩王は心根の優しい方なのです。』

『えぇ!?暴君じゃないのか?』

『いいえ。名君ですよ。皆に慕われてましたし…』

「亜樹〜!」

コウの思念を遮りソウが手を振りながら俺達に駆け寄ってきた。

「ソウ、おはよ。」

「亜樹、会いたかったよぉ。」

俺に抱き付き破顔した。ソウはずっと寮に居たからな。でも休みの日に来てオムライスを食べて翌日帰るを2回くらいしたっけ。

「今日から宜しく。」

「うん。あ、類くんのことはコウから聞いてる?」

「もっちろん。性格も好きな食べ物も熟知してる。ソウは大丈夫か?気分悪くない?」

「へーき。コウが学園にでっかい結界張ってくれたし。それで予定より時間が掛かったんだ。これで溝口は力を使えないはずだよ。」

サイが承諾した要因はこれか。コウの嘘吐き。俺の気持ちを汲んだとか調子良いこと言ってサイの株を上げようとしたな。

「じゃ、彩…九重先生、失礼します。亜樹、行こう?」

昇降口でサイと別れ俺達は教室に向かった。

「そうそう、今日は学力テストがあるんだ。」

「マジっ!?」

復帰初日にテストかよ。

「亜樹は卒業してるから問題ないよね。」

「あ、ああ。」

勉強は超苦手だけど何とかなるだろう。と思っていたら難し過ぎて全く解けなかった。この学校って偏差値高かったんだ。

「どうしょう…赤点確実だ。」

『亜樹がこんなにお馬鹿さんだとは思いませんでした。困りましたね。』

さらっと傷付くこと言うなぁ。事実だけど。

『そう思うなら答え教えてよ。』

『私の主義に反します。狡はいけません。』

『…ですよね。』

机に突っ伏していると背中を叩かれ振り向くと類とソウがいた。

「何、シケタ面してんだ?」

「どうしたの?具合悪い?」

「テストがさ…2人とも出来た?」

「バッチリ。簡単だったし。」

あれで簡単って類は頭良いんだな。

「僕は全部、書いたよ。勉強、楽しいし類くんの教え方上手いし。」

さり気なくヨイショするソウに類は「べ、別に俺は仕方なく教えてるだけで頼りにされて嬉しいとか思ってねぇし馬鹿な奴ほど教え甲斐があるだけだ。」と悪態をついた。このツンデレさんめ。可愛いじゃん。

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