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色彩繚乱
1彩龍視点
俺の片翼…
無二の存在…
お前は今、何処にいる?


俺の名は翼龍王彩龍。龍族の王。四龍石で国を治め300年ごとに転生を繰り返し龍国の王として君臨してきた。しかし不測の事態が起き転生時に四龍石が散らばってしまった。焦った俺は龍石を回収しようとしたが紅龍石しか掌中に収めることが出来なかった。

散在した龍石は我々が存在する異世界ではなく人間界に落下。この為俺の魂は二分されて転生出来ず往く処をなくした俺は人間界を漂い、このまま消滅するのか?と半ば諦めかけた時、死亡直後の赤子を見付け早急に入り込んだ。

命を繋いだ俺は九重家の次男、九重彩龍として、育てられた。九重家とは大企業の当主神坂大志に代々仕えてきた旧家。神坂家に害を為すものは莫大な資金と情報網を使い全て排除するのが九重の役目。しかし俺にとってそんなのはどうでも良かった。俺の目的は龍石を探すこと。だが幼い身体では力も使えず九重の方針に従うしかなかった。大人に混じり1から武道を叩き込まれ、あらゆる資格を取らされ俺の自由は無いに等しく不満は鬱積。そんな折、神坂家の子息、神坂類の教育係を命じられ憂さ晴らしに虐めてやった。その後は海外に飛ばされ仕事漬け。うんざりしていたが九重の力は絶大で秘密裏に調査していた蒼龍石を僅か2年で発見することが出来た。残り二龍石。白龍石と黒曜石。必ず見つけ出し龍国に戻る。その為に俺は九重に従事している。

「漸く日本に帰って来れたな。」

3年間の海外赴任を終え空港を出ると運転手が一礼した。

「彩龍さま、お勤めご苦労様です。」

「ああ。」

暫くぶりに邸宅に帰ってきたというのに兄の龍生は神坂家に挨拶に行ってこい。と言い付けた。相も変わらず人使いの荒い男だ。休む暇さえ与えないとは。当初はたかが人間如きに指図されねばならないのだ?と腹を立てていたが、それもこの歳になると慣れた。

「神坂に行ってくれ。」

「承知しました。」

部下の運転する車で神坂家に向かった。

「留守中変わったことはあったか?」

「はい。大変、申し上げにくいのですが実は…」

部下から類が学園で暴れ恭弥に大怪我をさせ入院中だと報告を受けた。

「バカ殿め。俺の居ない間に騒ぎを起こしやがって。」

苛立ちに拳を震わすと部下は血相を変えた。

「さ、彩龍さま、落ち着いてください。もうすぐ神坂家に着きます。」

「あ、ああ。」

俺としたことが。冷静にならなければ。

それから五分後に神坂家に到着。すぐさま当主に挨拶した。

「九重彩龍、只今、戻りました。」

「おお、彩龍。向こうでは大層、活躍したそうだな。龍生から話は聞いたぞ。」

当主は貫禄と威厳に溢れ威風堂々としている。

「いいえ、私は私の為すべきことをしたまで。」

「謙遜せずともお前の腕は確かだ。其処でお前に頼みたいことがある。」

やはり。どうせ面倒な仕事だろう。

「類さまのことですね。」

当主は渋い表情で頷いた。同情はしないが愚息を持つと気苦労が絶えないな。

「話が早くて助かる。バカ息子でも次期当主。二度と学園で揉め事を起こさぬよう監視してくれ。」

監視か。益々もって面倒くさい。

「監視となると学園に潜伏しなくてはなりませんが。」

「手は打ってある。丁度、教師の空きがあってな。お前、教員免許を持っているな?」

まさか教鞭をとる羽目になるとは忌々しい奴め。

「はい。資格は仕事に必要不可欠ですから。当主自らの御命令とあらば明日から着任します。」

「済まんな。今、手続き中だ。追って連絡する。」

「御意。」

終始、ポーカーフェイスで対処して屋敷を後にした。

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あきゅろす。
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