色彩繚乱
15
絡まる舌から逃れようとすればするほど執拗に追いかけてきて飲み込めない唾液が口角から滴下した。
はぁはぁ…苦しい…
息が上手く出来なくてサイの背中を叩いた。
酸素補給!
俺のサインに気付いたのか唇を離した。キスに慣れてない俺にはサイのディープキスは肺に悪い。危うく窒息するところだった。
「はぁ、ふぅ…」
呼吸を整えサイを睨むとパーカーを脱がされズボンと下着もむしり取られ、あれよあれよという内に丸裸。
「な、何、すんだよ!返せ!!」
サイから服を奪い返そうと手を伸ばしたら不意に手首を掴まれギョッとした。
「縛られるのが好みとはやはりマゾだな。」
「はぁっ!?」
ニヤリと口角を歪ませるとあっという間に両手首を紐で縛った。その手際の良さに唖然としつつ堅く結ばれた紐とサイを交互に見た。
あれ?サイは髪を結んだまま。ということはコイツ、俺が抵抗してもしなくても縛るつもりだったんだ。
「さいってぇーっ!」
軽蔑の眼差しをぶつけたのにサイはシニカルな笑いを浮かべ俺を冷ややかに見下ろした。
ムカっーっ!!
「解け!!今すぐ解きやがれ!!」
喚きながら躍起になって手首を動かしたけど緩む気配ゼロ。
「くっそぉ…」
「立ち上がれないようにしてやろうか?」
「えっ!?」
軽く押されただけで両手の使えない俺はカエルのように両脚を広げてひっくり返った。
わわっ!!は、恥ずかしい!!股間、丸見えじゃんか!!
「くくっ。絶景だな。亜樹。」
こ、この…何処まで俺を辱めれば気が済むんだ?
「くっ…」
急いで起き上がろうとする俺にサイは脹ら脛と太ももを一緒に縛った。それも早業。手慣れてる!?って疑うくらい。
あったまきたーっ!!」
俺は頭に血が上り過ぎて思いつく限りの言葉で罵倒した。
「異常者!変態!変人!変質者!!極悪人!!悪道!!外道!!ゲスヤロー!!」
言い終わる頃には頭も冷めていた。
「これほど侮辱されたのは初めてだ。」
地を這うような声で人形のように瞬き一つせず俺を凝視する。その瞳は怒りに燃え盛っていた。
やっべぇ…地雷踏んじまった。
「ご、ごめっ…」
「お前には調教が必要だな。」
言い過ぎたから謝ろうとしたのに…
「ざけんな!!俺は動物じゃない!!」
手足を拘束されているのにも関わらず必死で足掻いた。
「無駄なことを…」
「来るな!俺に触るな!触ったらただじゃおかない!!」
それでも威嚇したら口に指を突っ込まれた。
「むぐっっ!?」
「その舌、引き抜いて欲しいのか?」
喉奥まで深く入れられ噎せた。
「ぐっ…ぇっっ」
「しっかり濡らしておけ。さもないとお前が辛いぞ。」
な、何、言ってんだ?今でも十分、辛い!
舌で指を押し戻そうとしても余計、奥に差し込まれて涙が零れた。
く、苦しい……もぅ…止めて…
「いいだろう。」
漸く口から出され俺は咳き込んだ。
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